導入レポート

株式会社ユニバァサル設計


株式会社ユニバァサル設計


  • 取締役設計部長
    海野 陽 氏
    (東京本部)

  • 設計副課長
    本多 淳一 氏
    (埼玉事務所)

  • 設計主任
    永井 多賀子 氏
    (東京本部)
本社 〒252-0304
神奈川県相模原市南区旭町10-17
東京本部 〒105-0022
東京都港区海岸2-7-68

55周年の節目を目指し業界動向を先取りすべく
意匠系の実務設計者一人に一システムの普及を実現

組織設計事務所としての存立基盤強化のため、経営トップの決断でBIM導入に踏み切り、さらなる業務革新を目指している。設計者自らがBIMを使用する効果は、設計コンペ参加時や官民を問わず施主への提案力の高度化に効果をもたらしている。また、人事面や他社との差別化という営業面でのメリットも効果がでてきている。

POINT

  • 設計工程の最上流に位置するプロポーザルにおける提案力強化に威力を発揮するBIM
  • 近い将来、BIM普及は必然との結論を得た経営陣の決断によりBIMソフト導入に踏み切る
  • 方針書「BIM普及に向けて」に基づく教育体制で意匠設計者にほぼ一人一システム導入

トップの決断でBIMソフトの導入に踏み切り会社の発展のために最適なデジタル環境を構築

ユニバァサル設計は16年に55周年を迎える組織設計事務所。神奈川県相模原市に本社を置き、首都圏を管轄する東京本部を筆頭に大阪・仙台・上海など、国内外に11箇所の拠点を有する。技術者は一級建築士45名、会社全体として100名弱の所員等から構成されている。

BIMソフト「GLOOBE」導入は、社長の決断による。業界全般の動向や情報を注視する中で、将来的にBIMの普及は必然との結論を得た。12年6月の導入開始から約3年を経て、意匠系の実務設計者においてほぼ一人に一システムの普及を実現している。

設計工程の最上流に位置する提案力の向上として明らかとなったBIMソフトの導入効果

「GLOOBE」導入以前、画像処理ソフトによるプレゼンテーション、2次元フリーCADによる設計・デザイン実務など、デジタル化した建築情報を運用する態勢は確立されていた。それらの態勢を下地に、BIMソフト導入の効果は設計工程の最上流でのプロポーザルや企画提案に活用できる目処はたった。

このことは、設計コンペ参加時や企画物件提案時の3次元パースの作成に効果的だ。また、2次元図面が「主たるメディア」である現状を生かしつつ、そこから3次元モデルを俯瞰するBIMの運用や設計・デザインのコンセプトをわかりやすく「見える化」し、提出図書の質を上げるために「GLOOBE」の3次元モデリング機能は効果的だ。

官民の受注割合は約7対3。3次元パースは、官公庁の設計案件でも納品物として要求される場合もあり、民間案件では施主を含む多くの関係者との合意形成のため必須アイテムだ。繁忙期などにはパース作成を外注しているが、基本的には内製化を志向し、コスト削減と作業効率化を期待している。

直近の代表作:某市小学校・公民館複合施設 新築工事パース(平成27年3月設計完了)

BIM関連情報が流通する中で浸透しつつある設計事務所としてのBIM導入への社会的認知

業界動向を注視する中で社長が導入を決断したBIMソフト。経営面からもBIMソフトは多方面に渡り、影響を及ぼし始めている。社会的な事象の多くがデジタル化、IT化する昨今、建築設計事務所として使い将来、BIM導入は行うべきとの印象が定着しつつある。BIMソフト導入への社会的認知は浸透しつつある。

組織規模の拡大においては若手技術者の確保は喫緊の課題だ。応募してくる新卒者等の中にはホームページでのBIM運用を再確認する者もある。BIM運用は有力な求人要件ともなり始めた。

BIMソフトを導入し活用しているという社内環境整備は、設計競技における提案や会社パンフレット・ホームページでのアピールにおいても有益である。

設計部でのBIM運用風景

小規模な設計案件では確認できたBIMの3次元モデル修正時の2次元図面での整合性確保

「GLOOBE」で実務を完結できた小規模な案件。BIMによる3次元モデルを修正すれば、それら修正は全ての図面に波及するメリットは確認できた。一方で、大型物件では作業分担しづらいなどの課題がある。

国産BIMを標榜する「GLOOBE」は、2次元図面の作成機能に工夫がなされており、設定によって5割程度の実施図面が作成できる。一方で、不足部分を2次元CAD上で加筆、修正する現況もあるなどBIMソフトと2次元CADとの関係には悩ましい面もある。それらは「GLOOBE」の課題であると同時に、従来の業務フローをいかにBIMと親和させるのかとの課題でもある。

工程下流の施工会社、設備業者などとのBIM連携は実現していない。官民ともに、デジタル情報(PDF・DXFファイルなど)は副次的で、2次元図面出力での納品が主だ。

専任担当を設けられないためBIM教育ではベンダー主宰のセミナー・研究会を積極活用

社内におけるBIMの推進と教育については、独自の方針書「BIM普及に向けて」を元に進めているが、BIM本来の機能を駆使するまでにはさらに時間を要するに違いない。

今後のBIMソフト普及に向けては「設計者のモチベーションを上げる仕組み創り」「BIMによる設計(新築)案件を増やす」「BIMに携わる時間を増やす」がポイントとなる。一方で個人・大手の設計事務所と比較して中堅事務所でのBIM対応は難しく、組織としての取り組みの根幹を固めつつ、日常発生する課題への個別対応を進める必要がある。

大手建設会社ではBIM運用に際して専任の教育担当部署を設けるケースもあるが、同社の組織規模では困難だった。設計者に早期に「GLOOBE」を習得してもらうべく、福井コンピュータアーキテクト主宰のセミナーなどを積極的に活用している。それらセミナーでは「GLOOBE」の現業での使い勝手までを専任講師がレクチャーし、電子マニュアルの提供も受けられる。

新築のみならずリノベーション(改修設計)への対応等、「GLOOBE」運用の高度化を図るため、「東京J-BIM研究会」参加で得られた多くの知見を元に、新たな挑戦を開始した。

社内においてGLOOBEで作成したパース(平成25年作成)

※2015年7月発行のJ-BIM WORLD 事例集 Vol.2で掲載したものです。

導入製品

BIM建築設計システム
GLOOBE

日本の設計手法や建築基準法に対応した、日本発のBIM建築設計システム。法的規制や外観デザイン、平面計画からなど、3つの設計アプローチに対応し、「粗」から「密」へと設計本来の流れに沿った3次元設計を実現。自由度の高いデザイン機能やチーム設計への対応、豊富な日本仕様の建材データなど、日本国内における設計に最適化されたCADシステムです。

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