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G-Styleフォーラム Vol.3(2023年7月14日)

G-Style Forum VOL.3 開催!「ここまで進んだ“普段使い”のBIM」

2023年7月14日、福井コンピュータアーキテクトは、日本の施工BIMに関わる最新動向を紹介するBIM情報発信イベント「G-Style Forum」を開催しました。第3回となる今回は新たなGLOOBEユーザー会の発足記念となるスペシャルセミナー。設計事務所・建設会社が日常業務で活用できる「普段使いのBIM」をテーマに、YouTubeのライブ配信にて開催し、最大700名もの参加者を集める大盛況となりました。ここでは当時放映された3つのセミナーと商品紹介の抄録をお届けします。

【セミナー(1)】Japan-BIM Connect のご紹介

Japan-BIM Connect 会長 内田公平氏(鴻池組)

 「ある日突然、会社で“今日から君はBIM担当だ、よろしくね”と言われて突然BIMの推進を任された方。あるいは“BIM に興味があるけど、まわりに聞ける人がいない”と迷ってる方。そんな方たちから、我々はよく相談を持ちかけられます……」。今年4月に生まれたばかりのGLOOBEユーザー会「Japan-BIM Connect(以下JBC)」の会長 内田公平氏の講演はそんな言葉から始まりました。そうやって1人で悩んでいると「BIMってしんどいな」となりがちなので、ユーザーが集まって情報交換し「どう進めていけば良いのか」皆で考える場が必要なのだと語ります。そして、そこから生まれたのがJBCなのです。つまり、ユーザーが繋がることで「GLOOBEをちょっと深堀しGLOOBEとユーザーの環境をより良いものに」という集まりであり、日本のBIMは日本仕様を備えたGLOOBEで実現していきたい、と考えている仲間たちなのです。

「Japan-BIM Connect のご紹介」(セミナー資料より)


 「基本的な使い方は分かっていても、実務でどう使うかよくわからない……これもよくある質問です。操作に関する疑問もあるし、2Dから3Dへの切り替えに悩んでらっしゃる方も少なくありません」。JBCはそうした悩みへのアドバイスや解決策の話し合い、さらに新しい使い方や独特な使い方の発表の場でもある、と内田氏は言います。JBCに入会してイベントや会合に出席すれば、1人では決して得られなかったような、思いも付かなかったような情報に触れることができるのです。

 そうして、内田氏はJBCが擁する3つの部会(ワーキンググループ)── BIMならではの図面について考える設計WG、施工関係の業務効率化に取り組む施工WG、そして、建築ICT関連メーカーと協力して多様な機器とのデータ連携を追求するパートナー連携WG ──の活動内容やそれぞれの成果についても具体的に解説し、さらに合同研修会等々についても紹介。より多くのユーザーへ向けてJBCへの入会を請うメッセージを力強く訴えかけ、セミナーを終えました。

 

【セミナー(2)】歴史的・伝統的建物等におけるBIM活用の可能性

畝啓建築事務所株式会社 畝 啓(うね けい)氏

「僕は京都の宇治で設計事務所をやっています。2012年にGLOOBEを導入し、一般の幼稚園や保育園、病院に個人住宅等々いろんな建物を作ってきましたが、2018年に“歴史まちづくり研究会・うじ”(通称 レキマチ研)の活動に参加しまして、その活動の中でBIMを使って面白いことができないか?と始めたことが今日の話の出発点になります」。京都っ子らしい柔らかな口調で語る畝氏によれば、宇治には町屋・空き家、社寺等の歴史的建物──文化財ではなく、失われそうな建物が多数あり、レキマチ研ではこれに価値を見出し、保存し活用していこうと活動しています。そして、その中で畝氏が取り組んでいるのがGLOOBEによる簡易BIMモデルの活用です。

 畝氏が言う簡易BIMモデルとは、GLOOBEで敷地を入れ「スペース」と言うシングルの箱を置き屋根と開口部だけ設けたもの。まさに簡易なBIMモデルですが、これだけで確認申請に必要な情報はほぼ出せて、面積関係は全部整理できます。これがあれば設計初期段階から面積を掴んで進められ、プロパティを上手く使えば建物概要や説明も入れられます。この簡易モデルの活用法として畝氏が考えたのが歴史的建物の空き家調査への応用でした。

「歴史的・伝統的建物等におけるBIM活用の可能性」(セミナー資料より)

 「レキマチ研の皆で歩き回り、概要を調べて写真を取った空き家リストが100~200軒分あるんです。これを元にGLOOBEで簡易モデルを作り、iPhoneの無料アプリで撮った点群データを被せれば、まあまあリアルなBIMモデルになる。もちろん空き家のリスト化が当初の目的ですが、実はこれで実施設計の準備もできるわけです」。点群は10分程度で撮れるし簡易モデルも1~2時間で作れるから、建築事務所にとって大した労力ではありません。そして、もし何十軒の空き家の1軒でも実施設計の仕事が入れば、すぐにスタートが切れるというわけです。畝氏は実際に作ったさまざまな空き家の簡易モデルと改修事例を紹介。図面作成に囚われない、プラスアルファのBIM活用の可能性を示してくれました。

 

【セミナー(3)】Japan Style:既存BIMモデルの新たな価値創造

株式会社JASTY 窪田 靖 氏

 「日本の様式に合わせて使えるBIMソフトとして、GLOOBE Constructionには大きな可能性があります。RevitやARCHICADの操作も経験した私ですが、日本の現場工程に沿うメニューを持つGLOOBEは現場でもスムーズに使えます。今日はGLOOBEを用いた試みのご紹介なので“Japan Style”としました」。

 3人目に登壇したのは株式会社JASTYの窪田氏です。多様なBIM支援業務で実績を持つJASTYでは、西松建設との協業を行っており、施工BIMのさまざまな内容とそこから生み出される可能性の検証に取り組んでいます。ここではその一つ、RevitとGLOOBEによるデータ連携の試みについて語ってくれました。

「Japan Style:既存BIMモデルの新たな価値創造」(セミナー資料より)

 「せっかく作ったBIMモデルを3Dで回して確認した程度で、それ以上活用してない、という経験はありませんか? 2Dで分からなかったものが3Dモデル化で見えるようになるのは素晴らしいことですが、そこで止まってしまうのは惜しい。世の中にはそういう“惜しいBIMモデル”がたくさんあるのではないでしょうか」。その“惜しいモデル”をGLOOBEに取り込んで現場工程向けメニューで使えば、そのモデルは大いに活用され、モデルの新しい価値が生まれるのでは?というのが窪田氏の提案です。セミナーでは、GLOOBEのRevitデータ読み込み機能でダイレクト変換したRevitモデルをインポートし、GLOOBEで実際に活用した試みの詳細について惜しみなく語ってくれました。インポート検証の段階では、やはりいろいろ不具合が出ましたが、福井コンピュータアーキテクトも協力しある程度エラーは解消。インポートしたモデルをGLOOBEで扱う作業は成功し、その効果も確認できました。

 「今回は特に土工計画に関する検証を行いましたが、GLOOBE Constructionには仮設や工程計画、型枠等々、他にもきわめて魅力的な機能が多々あります。そこでもダイレクト変換したRevitモデルをインポートしてちゃんと使えるよう、福井コンピュータアーキテクトには引き続き機能改善を求め、情報交換しつつ取り組んでいきたいですね」。

 

【製品紹介】GLOOBEシリーズ製品のご紹介

福井コンピュータアーキテクト株式会社 BIM事業部 主任 谷原康介

 ゲストの講演の合間にGLOOBEシリーズの開発を担当している谷原康介が、GLOOBE ArchitectとGLOOBE Constructionの機能紹介を行いました。GLOOBE Architectの紹介では、畝氏の講演に準ずる形でGLOOBEによる簡易BIMモデルの利用に活かせる4つのコマンドを紹介しました。入力したオブジェクトを変更するためのプロパティコピーや要素テンプレート。そして、モデルをチェックするコマンドとして日影計算、オブジェクトリストについて、実際に手もとのノートパソコンでGLOOBEを操作しながら解説しました。

「GLOOBEシリーズ製品のご紹介」(セミナー資料より)

 また後段に行ったGLOOBE Constructionの紹介では、畝氏・窪田氏の講演の中でも触れられていた「点群データの活用」に関連して、「点群アシストオプション」とこれを利用したGLOOBEと点群データの連携について、やはり実演を交えながら解説を行いました。

 

特設スタジオ(福井コンピュータアーキテクト東京本部内)の様子

MC担当の福井コンピュータアーキテクト 木瀬憲和

G-Styleフォーラム Vol.3(2023年7月14日)

■開催日時/2023年7月14日(金)
      13:30~16:00
■参加費/無料(事前申込制)
■開催方式/YouTube LIVE配信
■配信場所/福井コンピュータアーキテクト 東京本部 特設スタジオ

■テーマ
ゼッタイ役立つ「設計・施工のデジタルワーク」ここまで進んだ“普段使い”のBIM

【セミナー(1)】
Japan-BIM Connect 会長 内田公平 氏
(㈱鴻池組 建築事業総轄本部 工務管理本部 技術統括部 ICT 推進課)
「日本の建築は、日本のBIM が繋ぐ。Japan-BIM Connect のご紹介」

【セミナー(2)】
畝啓建築事務所株式会社
代表取締役 畝 啓 氏
「歴史的・伝統的建物等におけるBIM 活用の可能性」

【セミナー(3)】
株式会社JASTY
建築グループ 窪田 靖 氏
「Japan Style:既存BIM モデルの新たな価値創造」

【製品紹介】
福井コンピュータアーキテクト株式会社
「GLOOBE シリーズ製品のご紹介」

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