導入レポート

清水建設株式会社


清水建設株式会社


  • 建築事業本部 東京支店
    生産総合センター
    生産支援グループ
    グループ長/一級建築士
    1級建築施工管理技士

    室井 一夫 氏

  • 建築事業本部 東京支店
    生産総合センター
    生産計画グループ
    主査/構造設計一級建築士

    吉井 正行 氏

  • 建築事業本部 東京支店 生産総合センター
    須永 裕之 氏
創業 1804年
本社 東京都中央区京橋2丁目16番4号
代表 代表取締役社長 宮本洋一
事業内容 建築・土木等建設工事の請負(総合建設業)

J-BIM施工図CADで躯体図作りにも挑戦
スーパーゼネコンが進める「現場本位」のBIM

日本を代表するゼネコン清水建設が推進するBIM戦略は、現場主体の「地に足のついた」普及が特徴です。BIMツールについても各業務に最適な製品を選定しており、躯体図作成にはJ-BIM施工図CADが選ばれました。その背景と狙いについて、生産総合センターの室井氏、吉井氏、須永氏に伺います。

J-BIM施工図CADで作成した施工躯体図の3Dモデル

「現場本位」で進めるBIM普及戦略

御社のBIM普及推進の現状は?

室井氏

当社ではBIMを、主に設計と施工の2つの段階を中心に進めており、BIMソフトも意匠と構造それぞれ別に製品を選定し普及を図っています。とはいえ、全物件の施工図をBIM化するつもりは当面はなく、まだまだ2次元CADで描く施工図が主流です。BIM推進をトップダウンで進める企業も多いようですが、当社はあくまで現場本位。BIM活用に関する情報は提供しますが、現場の意思を尊重しています。多少時間はかかりますが、だからこそじわじわと広まっている実感がありますよ。

BIMの展開における現状の課題は?

室井氏

究極的には、仕上図を含む施工図を全てBIMで描きたいのですが、現状はまだ、当社が実務で使うレベルの施工図を短期間でタイムリーに描き上げることはできていません。また、大きな現場の場合、施工図も複数のスタッフで描きますが、 BIMを使える人が少なく、現場に十分なBIM熟練者を配置できないのも課題です。そのため躯体図に絞ってBIM化に力点を入れています。J-BIM施工図CADならば、躯体図の叩き台として使える図面を半自動で3Dモデルから生成してくれます。実際、多くの現場がJ-BIM施工図CADで躯体図の叩き台を作っていますよ。

具体的にはどんな使い方を?

室井氏

J-BIM施工図CADは特に躯体に強く、われわれも主に躯体数量を拾う作業に使っています。鉄筋コンクリートの建物では、躯体図から正確に数量を出すことがコスト管理の重要なポイントです。そのためにはBIMで正確な数量把握の必要があります。現状では、全体の約4割程度の現場が何らかの形でJ-BIM施工図CADを使っています。また、他方では企画設計という上流工程でも使われています。

躯体図に最適なJ-BIM施工図CAD

上流工程での活用とは?

吉井氏

一連の設計工程の最も上流にあたる企画設計段階で、J-BIM施工図CADを使って躯体数量を算出し、見積りに役立てています。たとえばお客様が土地購入にあたり「建築費が幾らかかるから資金はこれで良いかな?」等と判断するため「ちょっと見積ってみて」と依頼されたり、当社が取組可否を判断するための材料として作成したりします。

そんな初期段階で数量を出せるプランが?

吉井氏

最初の図面は本当にポンチ絵です。シングルラインの、スパンもスケールを当てて測るような図面です。だからこそ逆に早くできる。細部が何も決まってないので自分で仮定できるんですよ。私は構造設計出身なので、その経験を生かして「この規模と用途なら部材断面はこれくらい」と見当をつけ、J-BIM施工図CADに入力。コンクリートと型枠、鉄筋などの数量をざっくり出していくんです。複雑な形は時間がかかることもありますが、普通の建物なら1日で入力を終え翌日に数量を出しますね。セットバックがガタガタしてたりするともう少しかかりますが、それでも1週間はかかりません。

J-BIM施工図CADが選ばれた理由は?

室井氏

他のBIMソフトと決定的に違うのは、容易に型枠面積を出せる点でしょうね。他ソフトでも無理すればできると思いますが、現実的ではありません。鉄筋に関しては、他ソフトはモデルに入れないと数量を出せませんが、J-BIM施工図CADならある程度出せてしまうのです。

須永氏

やはり叩き台とはいえ「使える躯体図」を出せるのは、現状ではJ-BIM施工図CADだけですからね。当初はこのCADも2次元化した図面データに問題がありましたが、要望を出して修正してもらう作業を重ねてようやくここまできたんです。それで、私もみんなに「便利だよ」と勧めるようになった(笑)。最初に比べれば本当に良くなったと思いますよ。

吉井氏

BIMソフトとしてはとても使いやすいんじゃないでしょうか。断面を決めてブロックを組立てるイメージでできるんです。しかも線と線とを厳密につながなくても、頓着せずに見積ってくれる所がいい。柱と梁が誤差で1cmずれていてもそれなりに拾ってくれるんですね。致命的な誤差かどうかは判断します。もちろん躯体図を描く時は厳密でなければ困りますが、初期は多少の曖昧さは飲み込んだまま進められる方が使いやすいのです。

生まれ始めたBIM活用の成果

J-BIM施工図CADによるBIMの運用はどんな成果を?

室井氏

一番感じるのは、これを使うことで躯体形状を早く理解してもらえる点です。若いエンジニアは2次元の躯体図だけでは内容を把握するのに時間がかかりますが、任意の断面が自由に切れるJ-BIM施工図CADなら、早く正確に躯体を掴めるんです。これは現場でも効果的ですよ。たとえば躯体で段差がある時、型枠の組み方を型枠大工と打合せる必要があります。そこでこれを使えば大工の理解も非常に早いんです。

吉井氏

私は、BIMを使うと躯体数量の算定根拠が残る点が重要だと思っています。手計算だけでは、誰の指示で何処を変更したのか、だんだん曖昧になりがちです。それが、BIMを使えば、変更前・変更後のデータもきちんと残るので責任の所在も明確になるのです。

他分野との連携については?

室井氏

設備との連携効果が大きいですね。設備施工図は、通常設備サブコンが躯体図や鉄骨の図面を元に設備CADで躯体や鉄骨を入れて3次元化し、配管等を配置しますが、今は私たちがJ-BIM施工図CADで作った3DモデルをIFC等で渡しています。彼らはそれを使って配管やダクトを配置すればいいわけで、ミスもなく連携がとてもスムーズになりました。また、躯体と設備を重ねることで「図面の納まっていない箇所」が一目で分かるのも重要です。早い段階でこの納まる/納まらないを把握するだけで、施工の流れは全く変わります。

今後のBIMの普及計画は?

室井氏

具体的に何年後までにどうする、といった押し付けの目標は決めていません。というのは、当社ではBIMも受益者負担の原則に則っており、施工図等の作図にかかるコストは全て発注した現場に負担してもらいます。だから、現場の所長や図面担当者が「BIMでやるんだ!」と意識して取組まないとなかなか進みません。当然、時間はかかりますが確実に広まっていますよ。ソフトについては、やはり施工図こそ我々のものづくりの基盤なので、これをBIMで作るのが望ましいですね。J-BIM施工図CADにも、躯体図にとどまらずさらなる進化を期待したいと思っています。

J-BIM施工図CADで作成したRC躯体図

導入製品

施工図作成システム
J-BIM 施工図CAD

ARCHITREND Zのテクノロジーをベースに、S/RC造の施工図作成を支援するシステム。躯体の部材データを基に、各図面の作成および積算・集計を自動で行います。施工部門での単独導入でも非常に効率よく作業が行えますが、GLOOBEとの併用なら、図面データや属性(部材リストや建具など)が連動するので、さらに効果的な作業が行えます。

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