コスト重視で「現場Plus」を選択。社内だけで運用した導入 1 年目で、大きな業務効率化の効果を実感。
株式会社ナミカワ不動産販売は、千葉県東金市から大網、八街等の山武地域を中心に各種不動産を扱う不動産会社である。ユーザー本位の姿勢で作る高品質な住宅も人気が高く、建売・注文住宅合わせて年間 100 棟余を供給している。同社では 2021 年9 月に現場Plus を導入し活用を開始した。導入計画を主導した設計部 の伊𣘺課長に、その経緯と狙いについて伺った。
■ 設計4人+現場監督6名で年間100棟供給
──建売と注文住宅両方おやりなんですね
はい。ただ、当社では建売住宅もセミオーダー形式なんです。もちろん大まかな標準仕様みたいなものはあるのですが、厳密な規格はなく、デザイン等も注文住宅と同じように、お客様から「こういう風にしたい」と言われればそのご要望通りに作っていきます。最近は少子化のせいか、平屋のデザイン系住宅をお求めの方が多い気がしますね。
──それを年間 100 棟とは設計も大変ですね
設計については私を含めて 4 人体制です。施工は別会社なのですが、6 名の監督が担当しています。これで年間 100 棟余を動かすので、やはり各スタッフ間の情報伝達が非常に重要な課題となります。実はこの問題が、今回の現場Plus の導入背景にあります。
──どういうことでしょう
前述の通り、監督は当社の建築部門を担う別会社の所属なのですが、家作りが始まると、本社の設計や営業担当との間で頻繁に情報のやり取りを行います。しかし、中にはパソコンが使えない監督もおり、やり取りはファックスが基本でした。そのため「見た/見ない」も確認できず、届いたファックスを紛失したり、届かないまま裏紙に使われてしまったりというミスが発生してました。さらには、それが原因で変更の連絡が届かないまま発注してしまう等のトラブルも起っていたので、対策の必要が高まっていたのです。
■ コスト面で他社製品を退ける
──それで現場管理ソフトの導入検討を?
ええ、社長命令で 2020 年の夏頃に検討を始めました。でも、実は最初、別の製品を検討していたのです。ところが、この他社製品はコスト面が大きなネックになって話が停まり、最終的には頓挫してしまいました。現場Plus のことを知ったのは、その直後のことでした。そこで、一度営業マンの話を聞いてみて、皆で検討した上で社長が「まあ、ちょっとやってみようか」と仰有って、導入が決まりました。2020 年 12 月のことです。
──現場Plus が選ばれた理由は?
まずは、やっぱりコスト面ですね。他社製品よりもかなり抑えることができる、というのは非常に大きかったです。それから機能的にも必要充分というか、私たちが求めるものがきちんと網羅されていました。特にいつでも何処からでも工程表等が見られるというのは、便利だと思いましたね。いままでは、たとえば工程表等も、こちらから監督に「ください」と言わなければもらえず、そもそも監督が忙しいと詳細を記してなかったりして、入手すること自体が手間だったんです。
■ 工程表と図面、トークを中心に活用
──活用状況の現状をご紹介ください
現場Plus のアプリを実際にインストールして使っているのは、現状では当社側の人間が中心です。営業担当に現場監督(前述した通り別会社に所属)、設計担当が主に使っており、ユーザー登録数は計 30ID ほど。協力会社は社数もスタッフの人数も非常に多く、高齢な方も少なくないので準備が必要かなと考えています。
──実際の運用はどのように ?
まず工程表については、新規案件が動き出したら、各現場監督の指示を受け建築部門の事務員が入力していきます。それから実際に現場が動き出すのに合わせて現場のフォルダを作り、決定図面等の図面類や書類を登録します。もちろん変更や修正が発生したらその都度そこへアップロードし、トークで監督等に周知します。変更の連絡などのやりとりもトークで行うのが基本ですね。
──掲示板はお使いにはならない?
ええ。というのは、当社の場合、一現場に建物・外構植栽と 3 人の監督がいるんです。だから、たとえば外構の監督には現場の変更や図面の情報はあまり必要ありません。ところが休日でもどんどん通知が来て掲示板もいっぱいになってしまうので「うるさいから通知は切ってくれ」なんて言われたことがあって……。だから当面は掲示板は使わず、全部トークに集約する形にしています。
──社内への普及はスムーズでしたか
各支店で講習会を行い、後は問い合わせに応える形で進めました。当然ですが年齢もいろいろだし、パソコンを使えない人もいたので、習得の進度にはやや差があります。できる人はすぐにできましたが、遅れぎみの人は今も完全には使い切れていません。それでも質問しながら、何とか使えているので。
■ 業務全般で効率化が進んでいる
──導入効果は現われているでしょうか
やはり、作業全般がスムーズに進むようになった実感がありますね。以前は各物件ごとの詳細を把握するのは困難でしたが、今は誰もが見たい時に見られる。なので、何に関しても対応が早くなった気がします。
──具体的にはどんな風に?
たとえば、家にいてふと現場の気になる点に気づいたりした時、すぐ現場にトークで依頼して問題箇所のスナップを撮って上げてもらえば即座に確認できます。昔は何でも全部紙でしたから、スキャンしてメール添付、あるいは紙で保存してファックスで送る。いずれもひと手間ふた手間かかったのが、今は図面も書類もそのままアップロードするだけ。しかも、以前は送っただけでは済まず確認の電話が必要でしたが、トークなら既読未読が付くのでその心配もありません。業務全般で無駄な作業手順が省かれ、効率化できてきているという実感がありますね。
──縦横断工程表もお使いですか
ええ、工程会議等では縦横断工程表を使っています。縦横断工程表は複数現場の動きをひと目で把握できますし、たとえば幾つかの現場で被ってしまっている工程のミスもすぐに気づくことができ、とても便利です。
──現場監督たちの感想は聞いていますか
いまはまだ直接の感想は聞こえてきませんが、見ている限りは楽になっているようです。いちいち電話で問い合わせなくても、現場Plus を見れば大抵のことは分かりますし、余計な電話はしなくて良いわけで。実際、現場と営業や設計とのやり取りは、以前よりずいぶん減りました。これも間違いなく効率化が進んでいる証拠だと思いますよ。