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基本設計、積算、外皮、WEB申請まで設計業務の全てをZEROで対応!国境を超えるATDriveネットワーク

愛知県岡崎市のフジケングループは、マンションと戸建分譲住宅、注文住宅等を扱う住宅事業を中心に幅広く展開する地域密着型デベロッパーである。特に住宅性能にこだわった質の高い家づくりに定評がある同社では、設計業務全般においてARCHITREND ZEROを幅広く活用している。その活用法の詳細について、同社戸建住宅企画部を率いる早川貴将氏に伺った。

ZEROの機能を活かすことで急成長

── 御社の家づくりの特徴は?

当社では分譲住宅を年間260~270戸供給していますが、面積等の問題で不可能な場合を除き100%長期優良住宅としています。また設計・建設住宅性能評価についても同様で、耐震等級3と耐風等級2を全戸取得しています。実は愛知県は長期優良住宅や住宅性能評価を取得する会社が非常に多く、そのこともあって住宅性能の向上は重要なポイントとなります。その意味でARCHITREND ZERO(以下ZERO)は、当社の家づくりの基盤を支える一つと言えるかもしれません。

── ZEROをどのようにお使いなのですか

10年以上前からのユーザーですが、実は当初、ごく基本的な配置図と平面立面図程度の作成にしか使っていませんでした。ところが、長期優良住宅への取り組みをきっかけに、ZEROの活用の幅が急速に広がっていったのです。建築法規の改正等による業界の変化にZEROの機能で対応し、成長してきたわけです。いまではZEROで計画から配置、平面立面など意匠図、設備図、さらに壁量計算や各種伏図、軸組図。また構造計算も行い、最近は外皮計算もやり始めました。もちろんプレゼン用パースもModelioで作りますし、確認申請等もすでに100%WEB申請に切り替えました。

── 設計業務だけで膨大な作業量ですね

もちろん社内の設計部隊に加え、外部の設計者にも外注しています。外注先は5社ほどあり、うち4社には施主との打ち合せを、残る1社に作図を依頼しています。一方、社内の設計部隊の主力はベトナムにある子会社にZEROを使うベトナム人スタッフが5名います。日本側は計画と全体のディレクションだけで、主力はこのベトナムの設計部隊です。当然、外注先もベトナムも全てZEROで作業し、ARCHITREND Drive(以下 ATDrive)で結んで密接にやりとりしています。

分譲戸建住宅(外観)

分譲戸建住宅(内観)

ZEROの強みを最大限活かす設計体制

── 社内と外注で設計業務の棲み分けは?

基本的にはベトナムの設計部隊は主力となる分譲住宅を担当し、外注先にはいわゆる「売り建て」の条件付き分譲住宅や注文住宅の設計を依頼しています。ただ、状況によっては、条件付き分譲住宅の構造図・構造計算や外皮計算だけベトナムで処理するケースもあります。全員がATDriveでネットワークされたZEROユーザーなので、そういった現場の状況に合わせた調整も柔軟に行えますね。

── ベトナムで構造計算・外皮計算まで?

ええ。もちろん私たちもチェックはしますが、基本設計から構造計算、外皮計算まで、ZEROをフルに使って5名体制で年間200件ほど作成しています。それもたとえば斜線制限など、いちいち言わなくてもちゃんと対応してくれるのですから、単なるCADオペレーターの域をとっくに超えています。ベトナムに設計部門を作ったのは4年前ですが、当初は私も現地に行き、講師として一からZEROの操作を教えました。ここ2年ほどはコロナ禍のため現地へ行けず、構造計算や伏図、省エネ関連等はZOOMを使って教えました。今は2×4の構造計算を指導中です。

── ZEROフル活用の効果はいかがですか

凄いメリットを実感しています。以前に比べると、作業効率的にも設計品質的にも飛躍的に向上したといえますね。ZEROの強みは、その多彩な機能はもちろん、多様な図面が全て連動している点にあります。その強みを活かすには、同じ物件を意匠と構造で分担してしまうのではなく、ベトナムの事務所のように一連の設計作業を同じ設計者がトータルに進めることです。これにより整合性の高い設計をより効率的に進められるのです。

── ATDriveもそれを後押ししている?

その通りです。昨年、ATDriveが登場し、ベトナムや他の外注業者とのやりとりにこれを使うようになって、チェックや修正指示もさらにスムーズに、スピーディになりました。現在では、作図専門の設計事務所等が採用している手法より、当社のそれの方が高効率だと思いますね。実際、設計部門の残業は、日本もベトナムも以前に比べ激減しています。

施工現場の模様

分譲戸建住宅(内観)

簡単で効果的なWEB申請は

── WEB申請にもお取り組みと聞きました

そうですね。早くからWEB申請への切り替えを進めてきました。もともと当社では、愛知建築センターという確認審査機関を使っていましたが、その機関がNICE WEB申請システムを用いたWEB申請を開始する、というので早速導入しました。狙いはもちろん、申請業務の時間短縮です。当社が使っている確認審査機関の窓口は安城市にあるのですが、行くだけで20〜30分、往復で1時間弱はかかってしまいます。作業をWEB上で完結できるなら、わざわざ行かなくても良いわけで……。ただし、使い始めた当時はZEROとの連動はできておらず、用途地域などのデータも一つ一つベトナムで手入力してもらっていました。

── ZEROとNICEの連携は昨年でしたね

ええ、ZEROを立ち上げた時に出るメッセージで、3Dカタログ.com「WEB申請書作成」を介してダイレクト連携が実現されたことを知り、だったらこれを使った方が断然早い!とすぐに使い始めました。現在は前述の通りほぼ100%をWEB申請でやっており、安城市への行き来はほぼ完全になくなりました。昔の確認申請なんて、それこそ紙にプリントアウトして赤を入れてスキャンして送って……という繰り返しでしたが、これも全てWEB上で処理できるようになったわけで、効率化効果は絶大です。さらに現在はZEROとNICEのダイレクト連携が実現して申請書類のミスも軽減され、転記やデータ圧縮の手間もなくなりました。まさに良いことづくめのシステムですから使わない理由はありません。

── 実に幅広くZEROをご活用ですね

それは、わたし自身が「ZEROを使えば使うほど効率化が進む」ということを実体験で判っているからです。法改正への対応一つ取っても、ZEROのように法改正ごとにバージョンアップしてくれるシステムに乗っかっていった方が、ユーザーである我々も素早く法改正に対応し、効率化できるわけで。今後もZEROの活用をさらに拡大していきたい、と考えています。ZEROにできることは、まだまだたくさんあると思っているので。

── では、今後の計画、目標は?

当面の目標としては、やはりZEROの省エネ関係機能の活用を強化していくことが挙げられます。国策として住宅建築の業界がそういう方向に向っているのは間違いないわけで……当社としても、ZEH等への対応を積極的に進めていきたいと考えています。

ZEROとNICEのダイレクト連携が実現して申請書類のミスも軽減され、転記やデータ圧縮の手間もなくなりました。(早川氏)

取材:2022年7月

早川 貴将戸建住宅事業部
戸建住宅企画部
ゼネラルマネージャー
一級建築士

株式会社フジケン

■所在地/愛知県岡崎市
■資本金/6,000万円
■設立/1972年2月 
■代表者/代表取締役社長 牧 久
■事業内容/マンション事業、戸建分譲住宅事業、注文住宅事業、ビル建設事業、リゾート事業

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