征矢野建材株式会社
動き始めたCEDXM「双方向データ連携」
ARCHITREND Z Ver.2のプレカット連携には「CEDXMデータプレカット連携実証実験」の成果が活かされています。松本市の征矢野建材はこの実証実験に協力し、開発段階のプレカット連携を体験しました。この機能がプレカット工場にもたらすものは何なのか。同社CAD設計室の森下佳彦氏と百瀬智昭氏に伺いました。
1年間で40~50件をCEDXM連携で運用
- 実験参加への経緯をご紹介ください
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森下氏
建築CADとプレカットCADのデータ連携は、プレカット業界にとっても当社にとっても長年の課題です。当然、私たちもCEDXMには関心がありました。そして、今回いよいよARCHITREND Zで本格的な連携を実現するということで、CEDXM評議会の依頼をいただき、実務レベルでの実証実験に参加した次第です。
- 実験の概要をご紹介ください
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百瀬氏
システムは意匠CADとしてARCHITREND Zを、プレカットCADとして宮川工機のMP-CAD2000を使用しました。工務店からメール等で意匠CAD図面データを受け取り、ARCHITREND Zで読み込み、必要に応じZで修正を加えた上でCEDXMに変換。そのCEDXMデータをプレカットCADで読み込み構造設計に活用する、という流れですね。
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森下氏
当初は変換精度に問題があり、正直なかなかスムーズには流れませんでした。そこで運用を通じて問題点を詳細に洗い出し、評議会にフィードバックして……ということを数ヶ月繰り返し問題解決を図り、徐々に双方向の連携にも取り組んでいきました。そろそろ開始して1年になりますが、このCEDXMによるデータ連携で流したのは既に40~50件に達しました。もう実験というより、実務レベルで活用できていると思いますよ。
構造図データに対する工務店側のニーズも拡大
- CEDXM連携によるメリットは?
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森下氏
CEDXMで図面をもらえるメリットは非常に大きいですよ。何しろそれ以外の物件では、現在もファックスで図面をもらうケースがほとんどで、寸法線も入ってないような「絵だけ」の手描き図面も少なくありません。そうすると当社の技術者の苦労が始まるわけです(笑)。
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百瀬氏
寸法が分からないとか、柱の位置がズレているとか、そんな場合は工務店にFAXや電話で確認しているんです。その上で一から図面を起し直していきますから、かなりの手間ではあります。CEDXMで図面データをもらえればその手間は無くなりますね。
- 双方向連携実現の意義は?
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森下氏
従来のような一方向の流れでは、工務店にメリットがありません。もらうばかりでは私たちもやりづらいですし……双方向連携により初めてギブ・アンド・テイクが可能となり、本格的な普及が進むのではないでしょうか。実際、当社の作った構造設計のデータに対する工務店のニーズも徐々に拡大していると思います。増改築時などで家の構造をいじる時には構造関連の図面が必要になりますから、自社案件の骨組みをデータの形で保管したいという工務店が増えているようです。
- 今後の展開はどうお考えですか?
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森下氏
現在ARCHITREND Zで立体化したJw_cadのCEDXM連携に挑戦中です。Jw_cadユーザの工務店も多いので、これがスムーズに流れるようになれば大きな弾みになりますよ。そのためにも私自身がARCHITREND Zを勉強したいですね。より自由に使いこなせるようになれば、そこからまた新しいアイデアも生まれてくると思うんですよ。
※2006年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。