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住宅BIMとは? 概要や将来性、住宅設計に導入するメリットを解説

2025.10.14

住宅BIMとは?

手戻りの発生や人手不足、施主と施工側の認識の違いといった従来の住宅設計や建築分野で発生する課題の解決や、業務効率化などを目的にBIMを導入する企業や増加傾向にあります。

これから住宅分野でのBIM導入を検討している方向けに、住宅BIMの基本情報や今後の展望、将来性、導入するメリットを解説します。ノウハウ不足や資金面などによりBIM導入に迷いやハードルの高さを感じている方は、ぜひ参考にしてください。

住宅設計や家づくりにおけるBIMの基本情報

ダイニングルーム

まずは住宅設計や家造り、建築事業におけるBIMの概要や基本情報を解説します。

BIM(Building Information Modeling、ビルディング・インフォメーション・モデリング)とはデジタル技術を活用して建築物の3Dモデルを作成し、設計・施工・維持管理に関する情報を統合・管理する設計手法です。

3DCADをはじめとした従来の3Dモデルとの違いはおもにふたつあります。ひとつめの違いは、従来の3DCAD等で設計を行う場合にはまず平面環境にて2次元モデルを作成したのちに立体的な3次元モデルへ展開していきますが、BIMでは初期から一貫して3次元モデルを使用できるという点です。

ふたつめの違いは、BIMでは作成したモデルにさまざまな情報を連携、集約しデーターベースとしても利用できるという点です。そのためBIMで作成した3Dモデルは図面作成やデザイン等の分野だけでなく、建築物の施工工程数の管理やメンテナンス計画の立案にも使用できるというメリットがあります。

住宅設計や建築事業におけるBIMの今後

スケジュール帳とスマホ

BIMは、3Dモデルを活用することと、情報を付帯できることによって様々な課題の解決や業務効率化につながると大きく期待されている技術です。

しかし、BIMの導入を検討しているものの、自社に必要かどうか迷っているハウスメーカーや工務店の担当者の方も現状では多いのではないでしょうか。

住宅分野におけるBIMの将来性や現在の状況について解説します。

建築DXに有効な手段

少子高齢化による人材不足、長時間労働の常習化、テレワーク導入の遅れなどの課題解決のために、住宅や建築分野でもDX推進が求められています。設計をはじめとした家づくりのプロジェクトにおける各フェーズにBIMを導入することで、業務効率化が実現しDXにも有効な手段となるでしょう。

尚、BIMを導入することで得られる具体的なメリットについても後ほど紹介します。

2026年4月よりBIM確認申請の試行が開始

建築や建設、住宅分野においてBIMを導入することで、さまざまなメリットが得られることから、国をあげてもBIMの導入が推進されています。国土交通省では新築建造物のほぼすべてに必要な確認申請において、BIM図面の導入を段階的に進めている最中です。

2023年度より電子申請受付システムや確認申請用の新しいルールの策定といった環境整備と並行し、BIMデータを審査対象とする場合の情報整理やチェックツールの選定なども進められています。2026年4月より試験的にBIM図面審査が導入され、2029年春にはBIMデータ審査が開始される予定です。

今後確認申請においてもBIMの活用がスタンダードになっていくと予想されています。

ワンポイント:福井コンピュータアーキテクト株式会社の住宅BIM「ARCHITREND ZERO」は、BIM確認申請に対応しています。

大手企業では導入が進むものの中小規模では導入が進まない

すでにBIM導入が進められている大手企業が存在するものの、小規模のハウスメーカーや工務店、ホームビルダー、デザイン事務所等では以下の課題からBIMの導入がなかなか浸透していないという現状があります。

・BIMソフトの導入コストが発生する

・ソフトやツールを使うノウハウが組織内で構築されていない

・建物やプロジェクトの規模によっては使いにくい(CADのほうが早いこともある)

・海外製のBIMソフトでは木造住宅に対応していない

・従来の方法のままであることを重視するという向きがある場合、現場に定着しにくい

事業規模や資金面等の理由からBIM導入に企業間格差が生じてしまっていることで、中小規模の企業への導入サポートなど何らかの支援が求められているとも考えられています。

住宅設計や建築事業にBIMを導入するメリット

住宅の外観

中小規模のハウスメーカーや工務店では導入が遅れているものの、BIMを導入することで得られるメリットや解決できる課題も多くあります。BIMの導入開始によって解決できる課題や得られるメリットについて解説します。

関係者がリアルタイムで情報共有できる

BIMを活用することで3Dモデルを見つつ、関係者同士でコミュニケーションを取りながら設計を進めることができます。作成した設計はそのまま実際の図面としても活用できるため、建築士や施工管理者といった専門家同士でも起きやすい設計上での意見や考え方の齟齬を防止でき、スムーズかつより精度の高い設計が実現できるでしょう。

専門家同士はもちろん、施主などの専門的な知識を持たない関係者でも、設計上の構造といった詳細情報を3Dでわかりやすく提示できます。営業担当者が住宅のプランなどをプレゼンしたいときにも、住宅構造や設備上のメリットや魅力を伝えやすくなります。

要望や設計上での問題で修正や変更が生じたときにも、その場で更新が反映されるため、最新の設計図をリアルタイムで共有できるのもメリットです。変更や修正情報の伝達漏れやミスも防げます。

早期のエラー発見によって手戻りが減少

BIMにおける3Dモデルは容易に修正や変更が可能です。3Dモデルによって複雑な構造や配管などが可視化されれば、初期段階での設計ミスなども発見しやすくなります。ある程度住宅施工の工程が進んでしまっている状態での手戻りを防げるため、無駄なコストの発生や工期の遅れ防止にもつながるでしょう。

一定プロセスの自動化も可能

BIMを活用することで、住宅づくりの一定プロセスの自動化も可能です。住宅づくりで発生する人的リソースが足りない場合でも、自社にあるリソースを抑えつつプロセスの進行ができます。また、人の手で行われていたプロセスを自動化することで、人的なミスの防止にも有効です。人的ミスの防止により、住宅品質の向上やコストの削減などにもつながるでしょう。

作業の効率性と正確性の向上

BIMで作成した3Dモデルは、そのまま図面として活用できます。3Dモデルをもちいて関係者間で情報を共有し、コミュニケーションをとり、不具合やミスがあれば都度修正ができます。他部署や企業間で情報の伝達ミスも少なくなり、住宅設計や施工プロセスの効率性も向上するでしょう。

手戻りが少なくなり初期段階からのミス発見ができれば、完成した住宅の品質向上にもつながります。BIMによって設計図と完成した建物との整合性が高くなり、設計の正確性向上にも有効です。

顧客満足度の向上

BIMで生成した3Dモデルそのものが図面になり、整合性や正確性が高くなることはお客様である施主にとっても大きなメリットになります。住宅づくりの初期段階で提示された図面と完成した家のイメージのずれが少なくなるため、施主にとっては理想通りのマイホームづくりにつながる可能性が高くなるでしょう。

さらにBIMで生成した3Dモデルからは、VR等も簡単に作成可能です。モデルハウスの存在しない注文住宅づくりを進めるにあたっても、施主は検討段階の図面からVRを通じて住宅の外観や内観、間取りやスタイル、設備などを確認できます。住宅づくりの途中で発生する不安や悩みなども3Dモデルを通じて解決したり、要望を反映したりといったことができるため、施主は安心しながら住宅づくりを進められるでしょう。

BIMの3Dモデルは、設計図として活用したあとに総合データベースとして活用できます。竣工後、適切な時期でのメンテナンスや点検の提案や、住宅資材や設備が故障した場合の部品や型番の検索なども簡単にできるため、住宅を建てたあとの充実したフォローの提供も可能です。

BIMは住宅設計・家づくりなどの生産性向上にもつながる

住宅づくりに活用されるBIMの基本情報や導入するメリット、業界における現状や将来性などについてまとめて解説しました。BIMによる建築確認申請の試行が進むなど、BIMは住宅づくりにおいても推進されている技術である一方、資金面やノウハウ不足などからBIMの導入が遅れているハウスメーカーや工務店も多くあります。外部支援サービスなども検討するなどして、自社のBIM導入をぜひ実現させましょう。

BIMを現場に定着させるには、BIMソフトの選定も重要です。自社のBIM導入目的や課題に合う機能が充実したBIMソフトを検討しましょう。

福井コンピュータアーキテクト株式会社では、住宅BIMシステム「ARCHITREND ZERO(アーキトレンド ゼロ)」をリリースしています。間取りや屋根などの基本データに基づいた3Dモデルを瞬時に生成でき、一連の住宅設計や施工、生産ワークフローとの連携も可能です。多くの企業への導入実績があり、導入サポートも提供しています。

カタログ資料やお見積り、デモの請求は以下から可能です。お気軽にお問い合わせください。

カタログ・資料のご請求:https://archi.fukuicompu.co.jp/form/catalog.php

製品導入に関するお問い合わせ:https://archi.fukuicompu.co.jp/form/index.html

お見積り・デモ導入ご相談:https://archi.fukuicompu.co.jp/form/consult.php

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