4号特例の見直し
建築確認・検査の対象となる建築物の規模の見直し
2025年4月より、「階数2以上または延べ面積200㎡超」の建築物は「新2号建築物」に該当し、木造・非木造、都市計画区域等の内外にかかわらず建築確認・検査の対象となります。
新2号建築物は建築基準法令のすべての規定が審査・検査の対象となるため、これまでの確認申請図書に加えて、以下の図書を新たに提出する必要があります。
提出図書の合理化
旧4号建築物から新2号建築物に移行する建築物のうち、仕様規定の範囲で構造安全性を確認できる建築物については、必要事項を仕様表に記載することで、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図及び軸組図の添付を省略できます。
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テンプレートを選択して仕様表を作成、書式や項目も自由に編集して登録・利用が可能【仕様書作成】
木造構造基準の見直し
木造建築物における省エネ化等による重量化に対応するため、必要な壁量や柱の小径等の基準が改正されます。
2階建て以下、高さ16m以下、延べ面積300㎡以下のすべての木造住宅・建築物が対象です。
必要壁量基準の見直し
令第46条の壁量計算の方法として、従来の重い屋根・軽い屋根による算定は廃止し、建築物の荷重の実態に応じた算定方法に改正されます。太陽光発電設備等を設置する場合は、その荷重も考慮します。
改正後は、以下の方法①~③のいずれかを行うことになります。
- 方法① 算定式により、建築物の荷重の実態に応じて必要な壁量を算定
(表計算ツールに階髙、床面積、屋根・外壁の仕様などの情報を入力することで、床面積あたりの必要壁量を自動計算) - 方法② 早見表(試算例)により、簡易に必要な壁量を確認
(計画している住宅の条件に適合する早見表を選択し、その表から床面積あたりの必要壁量を選択) - 方法③ 構造計算(許容応力度計算 等)により、安全性を確認
(この場合は、壁量の確認を省略可能)
表計算ツール、早見表は公益財団法人 日本住宅・木材技術センターのホームページにて公開されています。
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Excel計算ツール(多機能版)に基づいて荷重設定から必要壁量を算出【木造壁量計算】
存在壁量基準の見直し
改正後は、準耐力壁等を存在壁量に算入することができます。
また、耐力壁の倍率上限が5倍⇒7倍になり、高耐力壁を使用できます。
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「基準法」モードでも準耐力壁等の算入や必要壁量に対する割合の確認が可能【木造壁量計算】
柱の小径基準の見直し
柱の座屈破壊を防止するための柱の小径(断面寸法)の基準も、建築物の荷重の実態に応じた算定方法に改正されます。
改正後は、以下の方法①~③のいずれかを行うことになります。
- 方法① 算定式により、建築物の荷重の実態に応じて柱の小径および小径別の柱の負担可能な床面積を算定
(表計算ツールに階髙、床面積、屋根・外壁の仕様などの情報を入力することで、柱の小径および負担可能面積を自動計算) - 方法② 早見表(試算例)により、簡易に必要な柱の小径を確認
(計画している住宅の条件に適合する早見表を選択し、その表から柱の小径を選択) - 方法③ 構造計算(柱の座屈検討)により、安全性を確認
(この場合は柱の小径の確認を省略可能)
表計算ツール、早見表は公益財団法人 日本住宅・木材技術センターのホームページにて公開されています。
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柱の負担面積の自動分割や有効細長比の算出が可能【木造壁量計算】
構造計算対象の見直し
簡易な構造計算(許容応力度計算)で建築できる範囲が、軒高に関係なく高さ16m以下まで拡大されます。また、延べ面積が300㎡を超える場合には構造計算が必要になります。
建築確認・検査手続きの流れ
改正建築物省エネ法により、事前に「建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)」を受け、確認申請の際に適合判定通知書を提出する必要があります。ただし、省エネ基準適合を仕様基準で確認する場合には、建築確認の中で省エネ基準への適合性を審査するため、省エネ適判が不要になります。
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確認申請・審査マニュアルに準拠したチェック項目に整理、従来のリスト形式にも切り替え可能【確認申請チェック】
大規模の修繕・大規模の模様替の取扱い
2階建て以上または延べ面積200㎡超の建築物(新2号建築物)に大規模の修繕・大規模の模様替を行う場合は、確認申請が必要となります。
ただし、省エネ基準への適合義務は大規模の修繕・大規模の模様替においては対象となりません。
大規模の修繕 |
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大規模の模様替 |
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※ 主要構造部とは、壁、柱、床、はり、屋根または階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱等を除きます。
※以下の改修は、大規模の修繕・大規模の模様替には該当しないため、確認申請が不要です。
屋根 |
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外壁 |
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床 |
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階段 |
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完了検査について
完了検査において、旧4号建築物は検査の一部が省略されていましたが、新2号建築物は、全ての建築基準関係規定への適合性を検査することになります。
また、検査済証の交付を受けた後でなければ、建物を使用できなくなります。
完了検査は、建築基準関係規定(省エネ基準を含む)に適合することについて、①確認に要した図書と照らして、各種の検査結果報告書や工事写真等の確認を行う書類検査、②実際に現地で確認を行う現場検査、により実施します。
構造関係規定については、完了検査の段階では、ほとんど現地検査によって確認することができないため、書類・工事写真等による検査や、設計者や工事監理者などへのヒアリング等により確認することになります。
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職人が入力した各工程のチェック項目や写真を現場管理者が確認し、できていない場合は技術的指導を工程表の上で行うことができます。そのやり取りは現場Plusで履歴として記録され、最後に「工事完了報告書」として出力可能です。【現場Plus】