ARCHITRENDと3Dカタログを駆使した打合せを核に施主の要望に適確に応えた注文住宅を年間450棟供給
新潟市のハーバーハウスは2006年設立の若い住宅メーカー。モデルハウスも営業マンも持たず、施主の要望に応える完全自由設計という独自の家づくり戦略で急成長を遂げ、省エネ住宅だけで2,000棟を超える施工実績を蓄積。現在も年間450棟余を供給し続けています。そんな同社の家づくりを支える、ARCHITREND ZERO(以下ARCHITREND)と3Dカタログ.com(以下3Dカタログ)の活用法について設計デザイン室の冨田氏、小見氏、佐藤氏に伺います。
ARCHITREND ZERO+3Dカタログがメインツール
- 価格を抑えながらも全棟自由設計なのですね?
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冨田氏
はい、当社が提供する住宅プランはどれも完全自由設計プランです。プランごとに基本仕様や設備はある程度決っていますが、間取りや内外装デザインは基本価格内で自由にアレンジできます。プランも多彩で、たとえば「EXY」は住みやすく購入しやすい高品位住宅として若者の支持を集めており、近年話題のインナーガレージを取入れた「PROTH」や「REGA」も、スノースポーツが盛んで釣好きの多い新潟ならではのプランとして人気です。また、ガルバリウム外壁に無垢パネルが印象的な「ORGA」もデザイン志向の強い商品として人気上昇中ですよ。
- それにしても自由設計で年間450棟とは凄いです
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冨田氏
住まいは一棟一棟、立地条件が異なりますし、それぞれ家族構成やライフスタイル、好みも違うのが当たり前です。お打合せは、私たち設計士やコーディネーターが直接、施主ご家族のお話しをじっくりお聞きします。そのため、弊社には新築の営業マンがおりません。そして、ご家族の将来まで視野に入れ機能的かつわくわくするようなプラン、デザインを企画・提案することに大きな力を注いでいます。
- すると打ち合せ自体が非常に重要になりますね?
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冨田氏
その通りです。お客様の立場に立ってとことんお話を伺うのはもちろんですが、その打ち合せやご提案をスムーズかつ効率よく行うことがとても大切です。そのためには、お客様にプラン内容を正しくご理解いただきスピーディにジャッジしてもらい、ご要望には素早く応えて適確に次の提案へ反映させなければなりません。そこで私たちにとってカギとなるのが、ARCHITRENDと3Dカタログの活用です。
- では、その実際の活用法をご紹介ください
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冨田氏
設計では、基本的には全てARCHITRENDと3Dカタログの素材を使ってお客様との打ち合せを行っています。本社には専用の打ち合わせスペースがあり、ディスプレイを2台置いたテーブルがたくさん用意されています。ここへお客様をお招きし、作成したプランのイメージパースをお見せしながら打ち合わせを進めていくわけです。もちろん第1回のプラン提案の段階から3Dでお見せしていきます。時にはお客様の要望を受け、その場でプランに手を加えたり変更したり……素早く対応できるのもARCHITREND+3Dカタログの強みですね。そういうやりとりを何度か行いプランがある程度固まってくると、インテリアコーディネーターとの打ち合せも始まります。
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小見氏
私たちインテリアコーディネーターも、お客様との打ち合せにARCHITRENDを使いますが、設計担当とは少々使い方が異なります。コーディネーターの場合、設計が作ったプランが既にある状態からのスタートで、言わばその立体にさまざまな「色」を付けていく仕事なんですね。だから、3Dカタログの活用が一段と重要になってくるわけです。
- 設計もコーディネーターもARCHITRENDと3Dカタログがメインツールなんですね
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冨田氏
その通りです。当社では「ARCHITRENDを使えること」が業務を行う上での大前提となっているんですよ。実際、本社でも事務方のスタッフ以外は、ほぼ全員が使っていると思います。
リアルなパーツでのご提案が効率化のカギ
- なぜ初期の打ち合せからARCHITRENDで?
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冨田氏
2Dの平面図等では、建築の素人であるお客様にとって、どうしても具体的にイメージし難い面があります。やはり立体として表現してお見せすることで、初めてプランの意図が正確に伝えられるんですね。しかも、前述したように私たちは打ち合せの場でお客様のご要望に応えてプランを作成、変更することも多いので、作りあげたモノをその場で素早く立体化して見せられるARCHITRENDのスピードも、非常に重要な武器となるわけです。
- 3Dカタログについてはいかがですか?
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小見氏
たとえば外壁や床材など素材関連のパーツは頻繁に改廃されるので、最新のパーツで提案しようと思ったら、やはり3Dカタログが便利なのです。更新が早くて新しい素材もどんどん入れてくれますから。本当にリアルなパーツで再現したビジュアルで、お客様にご提案できるわけです。
- 提案段階でそこまでリアリティが重要に?
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小見氏
とても重要です。特に外装のご提案では、立体的でリアルなパーツのイメージでご覧いただかないとお客様も私たちの提案内容を実感しづらく、決定打を見失いがちです。時には「本当にこの外壁でカッコよくなるかな?」とか「外壁の2色を何処で塗り分ければきれいになるのだろう?」と、考え込んでしまわれることも……。当社の打ち合せスペースには建材サンプルも用意してあるので、お客様に選んでいただいたモノをARCHITREND+3Dカタログでパッパッと貼ってお見せすればお客様もポイントをつかんで素早く判断できるわけで。この手法には、お客様の決断を促す効果もあると感じています。
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佐藤氏
これは設計でも同様です。特に私の場合、内観パースを作ることが多いので、3Dカタログの活用は重要なポイントとなります。内観パースは「外観イメージはあるが内観はどうしよう?」という時に作りますが、お客様はWeb等をご覧になってイメージの方向性をお持ちの方が多いのです。でも、それを「検討中の間取りで実現できるか?」となると、平面図では想像しきれません。そこで弊社で使っている素材のパーツをプランに反映させるのが実感値も高く、分かりやすいのです。……それから、実はこれ私自身の勉強にも役立ったんですよ。
- ご自身の勉強に?
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佐藤氏
ええ。私も入社当時なかなか立体のイメージがつかめず苦労したのですが、SNSやインスタで内外装の写真を見て勉強し、ARCHITRENDで実建材のパーツを当てながらいろいろ試すうちにセンスが磨かれ、見せ方のポイントもつかめてきた気がします。ARCHITREND+3Dカタログは仕事として勉強できるツールかな、と思っています(笑)。
使い方広がるARCHITREND+3Dカタログ
- 試してみたい機能や手法などありますか?
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冨田氏
そうですね。まだ使い切れてない機能としては、フォトモンタージュがあります。現地の実景写真を取り込んで、制作した3Dモデルと合成させるという機能ですね。あれを活用したいと思っています。私たちは打ち合せでGoogleEarthを使って「こんな敷地に建てますよ」とご案内していますが、これをもっと進化させられないかな、と。たとえば現地のGoogleマップ3Dへプランの3Dモデルをリンクさせて、GoogleEarth上でお見せできたら良いですね。Googleマップを辿っていくとポンと新居が建っているという……リアルだし分かりやすいはずです。
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佐藤氏
ちょっと近未来チックですが、お客様が描かれた手描きの間取図とかをお持ちいただくことがあるので、これを取り込んで簡単に立体化できたら喜んでいただけるかも知れませんね。
- 佐藤様のアイデアは当社の「まどりっち」というiPadアプリで実現できます。ぜひお試しください。
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佐藤氏
そうなんですね。試してみたいです。
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小見氏
私も企画したプランの外観や内観のイメージの色や素材を、お客様側でスマートフォン等を使って自由に着せ替えできたら良いな……とずっと思っていたんですが、これもすでに3Dカタログの機能としてあるみたいですね(笑)。今度、試します!
取材2021年3月 役職などは取材時の物です。