ローコスト&高機能な現場Plusで設計と現場を緊密にネットワーク。トータルな現場効率化を実現する
岐阜県大垣市の大安建設は地域密着型のハウスビルダー。重機やプレカット工場、生コンプラントまで自社で保有して行う自社施工により、顧客の要望にきめ細かく応えながら年間80 棟余を供給している。同社では現場効率化とさらなる品質向上を目指し、2020 年に現場Plus を導入し全社で運用を開始した。取り組みの詳細について設計部の瀬口真理子氏に伺った。
現場とのコミュニケーションが重要
----貴社の家づくりの特徴は何でしょう
徹底した自社施工をモットーとしており、造成工事から外構工事、家の完成まで、一貫して自社で全てを行います。企画設計に関しても、お客様のご要望にとことん応える分譲住宅が基本です。最近はコロナ禍の影響もありアパートから戸建に移りたいという方が増えており、ご要望も帰ってすぐ手が洗えるよう玄関近くに水回りがある家などが求められます。また和室にブランコを付けるなど、お子様が室内で遊べる工夫もニーズが高いですね。こうしたさまざまなご要望に素早くお応えするためにも、私たちは自社施工にこだわっています。
----要望に応える設計担当は大変ですね
当社の場合、常時6~7件ほどの物件が動いています。それを設計3人で担当しています。工事が始まると検査の立ち合いや現場との打ち合わせや調整など現場監督的な仕事も任されるので、現場が重なるとなかなかの忙しさとなります。動き始めた現場を監理しながら図面も新規で作らなければならないわけで……ずっと効率化の必要を感じていました。中でも大きな課題だったのは、現場とのコミュニケーションの問題です。
コストと使い勝手で現場Plusを選択
----現場とのやり取りに関して問題が?
実際に工事が始まると、現場では図面や仕様書に記されていることだけでは足りない情報や分からない詳細が出てきます。そうした時、大工さんや業者さんから担当設計に「ここはどうしたら良い?」と相談の電話がきます。その後、決定事項に関係する各業者さんそれぞれに連絡を取らなければなりません。これはお互いに時間も手間もかかります。また、工事写真の提出を大工さんや業者さんにお願いして届けてもらっていましたが、催促しないと提出しない人がいたり、工事写真が足りなかったりで「どうにかしたい!」と思っていました。ちょうどそのタイミングで現場Plusを知り、昨年すぐ導入を決めました。
----他社の類似製品との比較は?
他社製品とも比較・検討しました。その上で現場Plusを選んだのは、何と言ってもまずコスト面です。比べると断然価格が安いのに、写真やトーク、掲示板等々、私たちが望んでいた機能はきちんと揃っている。しかもARCHITRENDユーザーの当社にとってはCADとの連携も可能と言うことで……コストと使い勝手の両面から福井コンピュータ製品を選びました。
設計と現場を幅広くネットワーク
----貴社で現場Plusをお使いなのは?
当社の現場Plusユーザーは約50名です。本社では設計、営業、総務、現場では大工さんに加え協力業者さんも全員使っています。さらに商社の担当者や開発関係書類を作成する行政書士さん達にも使っていただいています。現場の進行状況、書類関連の進行状況を共有することができれば、図面作成のタイミング等も把握しやすいですから。
----導入教育などはしましたか
特段の教育は行っていません。現場にも「とりあえず使って、慣れてください」と渡し、「分からなかったら質問してください」と。幸い操作画面を見る限りさほど難しくなさそうに思われましたので。「写真と図面で使ってもらえれば良いかな」程度の気持ちで始めました。最初は現場からの問い合わせもありましたが、一年経った今はもうほとんどありません。
----実際の運用はどんな風に?
現場に関しては、やはりまず写真ですね。ポイントごとに大工さんに施工写真を撮ってもらい、クラウドに上げてもらう。それを私たちがチェックし、必要があれば指示を入れて返します。また、図面も以前は全て紙に出力し、大工さん向け・業者さん向けと分けて製本していましたが、クラウドに上げておけば大工さんも業者さんもそれぞれが見て、動いてくれます。
----掲示板やトークはお使いですか
掲示板は主に現場単位で、現場の進行状況や情報伝達、お知らせに使います。トークは逆に個別の利用が中心ですね。大工さんだけに一斉にお知らせするグループトークもよく使います。例えば「もうすぐお盆休みに入りますが、検査の段取りや材料の不足は大丈夫ですか?」と呼びかけておけば、「こういう材料が必要だけど」という風にあちらから連絡が入るので、休み前後の検査や材料の段取りができている状態になりました。
全般的な効率化で時短を実現
----導入効果は感じていますか
施工写真に関しては、撮ったその場でアップしてくれるため、もう催促しなくなりました。また、図面も印刷や製本が不要になり、施工現場で強風に飛ばされて図面を無くして再製本するということもなくなりましたね。(私たち設計も、現場ごとの資料を持ち歩くことがなくなりました。)また、デジタル図面は簡単に拡大縮小できるので、視力の衰えた職人さんにも凄く好評です。後はトークの一斉送信や掲示板も、例えば「キッチンの施工は○日です」と掲示板等に告知を書いておけば、皆がそれを見て動いてくれるようになりましたし、大きな時間短縮に繋がっています。
----どれくらい時短できたでしょう?
導入以前と競べると、毎日一時間以上は縮んでいると思います。実際、私自身も残業がずいぶん減りました。家族も「最近なんか早いねー」みたいに言ってくれます。設計者としては、雑務が減って「図面そのものを考える時間」をたっぷり取れるようになったことが嬉しいですね。
----今後の活用目標は?
入退場管理を活用して、外構工事のスケジュールを上手くコントロールしたいと考えています。また、普及が遅れぎみの営業部隊にも、もっと使ってもらえるよう働きかけていきます。
取材:2021年9月