営業マンが「まどりっち」を駆使、ARCHITREND ZEROと連携し 介護住宅改修を効率化&品質向上
超高齢化社会の到来とともに介護関連ビジネスへのニーズが拡大している。神戸市の株式会社ひまわりは介護住宅改修や福祉用具の選定・導入サービスにより、在宅要介護者が快適に暮らせる住環境を提供。神戸・大阪地域を中心に契約者数は1万を超える。同社では昨年、まどりっちとARCHITREND ZEROを導入し業務効率化を開始した。その取り組みの詳細について伺った。
どこまでも利用者の声に耳を傾けて
- 介護住宅改修とはどんな住宅改修ですか
-
荒谷氏
加齢や病気により生活動作がしにくくなるなどして日常生活に不都合が出てきた時、介護保険を利用し、身体の状態に合わせて住宅を改修。要介護者が快適に暮らせる住環境にしていきます。当社では手すり一本を取り付ける小さな工事からワンフロア全部を改修する大工事まで年間2,000~2,500件を取り扱っており、この数は年々増えています。
- 高齢化が進んでいるからでしょうか?
-
荒谷氏
当社の契約者様も増えていますし、お客様の身体の状況は変わるので住宅改修も一回やって終わりとはいきません。最初は手すりを付けただけで済んでも「足元が危うくなってきたので段差を無くしたい」とか「車イスで畳が傷むのでフローリングに」とか、リピートのお客様も多々おられますから。
- 普通一般のリフォームとは異なりますね
-
荒谷氏
介護改修では、ご利用者様の動作に合わせ目的に合わせて改修するのが基本です。たとえば、通常の改修工事なら1~2cm程度の段差は気にされないでしょう。しかし、私たちの仕事では時にこれが大問題となります。とにかく普通の人が「これくらいできるよね」と思うようなことがどうしてもできないという方も少なくありません。大切なのはそうした見えにくいニーズをきちんと聞き出すこと。ケアマネージャーやご家族からも話を聞き、本人が気づかないようなことまで伺います。
- 営業マンが重要な役割を担っていますね
-
荒谷氏
お客様と会ってニーズを引き出すのは営業マンですから、彼らの責任は重大です。しかも、当社で行う改修工事は年間2,000~2,500件もありますが、営業は30名ほど。質の高い調査や企画をより効率的に行う必要があります。そこで昨年導入したのが、まどりっちとARCHITREND ZERO(以下ZERO)です。
美しくスピーディに間取図を描くために
- 導入の背景と経緯をご紹介ください
-
荒谷氏
それにはまず、当社の仕事の基本的な流れを説明した方が分かりやすいですね。前述の通り、まず営業担当が契約者様とコミュニケーションをとってニーズを引き出し現地調査をして、どのような改修が必要かプランニングを行います。そして、これを元に事務センターでCADを担当しているスタッフが図面と見積りを作ります。仕上がったらプランナーの私がチェックし、営業担当が契約者様へ提案するわけです。基本的にはここまでを社内で行い、施工は協力会社に外注します。もちろん工事の監督や介護保険関係のさまざまな書類作成や届出等も当社が行いますよ。
- その流れの中でまどりっちが必要に?
-
荒谷氏
そうなんです。改修対象となる家に現地調査に伺った営業担当は間取りを描き、改修ポイントをメモしてCAD担当へ送るわけですが……ここに問題がありました。従来はその場で間取りを手描きしていましたが、立ったまま短時間でフリーハンドで描くので、真っすぐ線を引くのも大変です。改修ポイントのメモも殴り書きになりがちで……。
-
追風氏
実際、すごく癖のある字で書いたメモや間取図が営業から届くんです(笑)。CAD担当の私たちはなかなか解読できなくて。
-
森下氏
よく追風さんたちから「これはなんですか?」と問い合わせが来ましたね。だから外で描いた図があまりに酷い時など、事務センターへ送る前に描き直したりして……。
ZEROとの連携でさらなる効率化へ
- すぐに営業部門全体に?
-
荒谷氏
ええ。とにかくアプリをダウンロードするだけで簡単に使えますからね。当初はみんな指で描いていましたが「Appleペンシルが欲しい」という声が高まり、今はこれも支給され、皆がこれで間取図を描いています。
- 導入効果は感じていますか
-
森下氏
そうですね。まどりっちは画面上のグリッドに基づいて描いていくので、図面を描き慣れない若手の営業マンでも非常に描きやすく、仕上がりもきれいなんです。で、そのデータを事務センターに送れば図面にしてもらえるわけで。以前はいちいちファックスしたりスキャンしてメールしていましたが、データでやり取りできる点も効率化に繋がっています。また、カメラ機能を使って、福祉用具を取り付けたい場所等を撮影して残しておくと、後で何処に取り付けるか非常に分かりやすいのも良いですね。でも、営業マン以上に改善されたのは、CAD担当の手間でしょう。私たちが送った読み難いメモや図面を解読する手間が一挙に省けたのですから(笑)。
-
追風氏
ええ、クセの強い字の図面やメモは、まどりっち導入以降はなくなりました。送られてくる間取図も、個々の営業マンのキャリアに関係なく同じレベルの図が届くようになったので、すごく作業しやすくなっています。
- 営業手法への影響はありますか
-
森下氏
私たちは営業先で居宅介護支援等でケアマネージャー様も来られていることがあります。最近はそのケアマネージャー様から、まどりっちで描いた間取図を「分けてほしい」と言われることが増えました。以前だったら手描きの汚い間取図なんて恥ずかしくて渡せませんでしたが、いまは自信を持って提供できます。一つの営業ツールとしても使えますね。
- ZEROもお使いと聞きましたが?
-
追風氏
私たちCAD担当が使っています。以前はJw_cadで一から作図していましたが、まどりっちと連携できるZEROならまどりっちデータから3Dを立ち上げて図面を作れるので非常に楽になりましたね。操作も想像以上に易しくてスムーズに導入できました。
-
荒谷氏
ZEROで仕上げた図面は品質が高く、お客様の印象も良いし意図が正しく伝わります。まぁ今年2月に導入したばかりなのでパース等の展開はこれからですが、視覚に訴えられるようになればより効果的なはず。差別化の武器にも使えると期待しています。
※取材:2022年6月