現場Plusの幅広い活用により全社テレワーク勤務を推進し 残業ほぼゼロの職場環境を実現
埼玉県川口市のアイ建設は、個人・集合住宅から店舗建築まで幅広く請負う建築会社である。中でも木造耐火建築や4~5階建ての木造大型建築を得意とし、特に木造耐火ではすでに200棟以上の実績を持っている。そして、もう一つの特徴が、ITを駆使して実現するリモート勤務と残業ほぼゼロの職場環境だ。そんな同社のDX戦略を牽引する飯田愛香氏にお話を伺った。
残業がない工務店
──木造耐火と大型木造建築が得意分野
飯田氏●木造耐火については、他社差別化戦略の一環として早くから取り組みを開始し、すでに200棟以上の実績があります。昨年の実績で言えば、総供給棟数11棟のうち7棟までが木造耐火建築でした。また、以前は小さな戸建住宅等が中心でしたが、最近はアパート、クリニックなど3階建てから4~5階建ての大型木造建築が増えています。特に昨年建てた5階建て木造建築が新聞の一面で紹介され、木造耐火建築の大型物件を得意とする会社として広く知られるようになっています。
──大型物件等年間11棟をスタッフ何名で?
飯田氏●現在、新築担当の現場監督は3人います。私自身も現場を見ますが、リフォームの担当なんです。リフォームは以前はあまり積極的に受けていなかったのですが、近年、ご依頼が増えてきたので力を入れているところです。
──それでは皆さんかなり忙しいのでは?
飯田氏●ええ、忙しいのはもちろんですが、実は監督たちも含めて、当社では残業する人がほとんどいません。他社に聞くと、建築業界は非常に忙しいのが当り前で、残業・休日出勤も珍しくないと聞きます。
──逆に御社はどうやって残業ゼロに?
飯田氏●残業はもともと少なかったのですが、テレワーク勤務の推進と現場Plusなど各種ITツールの活用による省力化、業務効率化の効果が出ているかもしれません。テレワーク勤務が進んだのは、遠隔地の現場が増えたこととコロナ禍がきっかけです。以前は都内の現場が多かったのですが、近年は入間や所沢、そして千葉、神奈川といった遠方の現場が増え、現場から社へ戻るのに時間を要するようになりました。そこで目を付けたのが、コロナ禍を機に一般化したテレワークです。監督たちがいちいち現場から社へ戻らずに済むテレワーク勤務に切り替え、遠方現場の対応には現場Plusを積極的に活用することにしました。現在ではテレワーク勤務が完全に定着し、中には週に1回しか出社しない監督もいますよ。
テレワーク勤務+現場Plusで効率化推進
──テレワーク導入は円滑に進みましたか?
飯田氏●まず定例会議で試してから導入しました。これは毎週1度、月曜日に全社員集まって行っていた会議で、とりあえずこれをオンラインでやってみたんです。最初いろいろなオンライン会議システムを試しましたが、現在はあるビジネスチャットを使っています。もちろんパソコンとタブレットは全員に支給済みなので、時間になったら各自いま居る場所でビジネスチャットを立ち上げ、タブレットで現場Plusを開いて工程表その他の資料類を見ながらやり取りしています。このやり方が効果的だったのでテレワーク勤務推進に移行しました。
──テレワーク勤務になって会社に変化は?
飯田氏●実際にテレワーク勤務になってみて思ったのが「オフィスでなければできない仕事って、実はそんなに無いのでは?」ということです。お客様や協力会社など外部の方との打合せや連絡も含めて、大抵のことはオンラインでできますし、特段の問題も感じません。結果、ペーパーレス化や省力化も進み、社内の人間関係など良くなったくらいです。
──コミュニケーションロスはなかった?
飯田氏●監督たちは遠方の現場は基本すべて直行直帰ですが、夕方6時が終業時刻なので、6時前にオンラインで「今日はどうでしたか?」などやりとりしています。変な話ですが、会社にいたら「おはようございます」「お疲れさま」程度の決まりきったやりとりだけでしたし、むしろテレワークの方がコミュニケーションが深まるようです。本部スタッフにも「今日やったこと」の記録を毎日提出させており、テレワークでも皆が何をしているかちゃんと分かります。とにかく多様なデジタルツールでこれまで以上にコミュニケーションを取るようになったため、前述の通り社内の人間関係が良くなった実感があります。
工程表から図面、写真管理、労務管理、掲示板機能…… 現場Plusの幅広い活用で完全テレワーク化を支援
──実際の現場Plus活用法をご紹介ください
飯田氏●使っているのは、主に工程表と図面、写真管理、労務管理。あと定例会議では掲示板機能も活用しますね。最初に使い始めたのは工程表です。以前は皆この工程表作りに表計算ソフトを使っていて、私はそれが許せなくて(笑)。実際、現場Plusの方が断然良いですよ。直感的で使いやすく、作成スピードも全然違います。いまでは監督もほぼ現場Plusへ移行しました。また、図面もダウンロードするだけで最新の図面を容易にチェックできるので、皆便利に使っているようです。
──労務管理には入退場機能を?
飯田氏●はい。入退場機能は「現場」の緯度経度を登録すれば、監督のスマートフォンの位置情報を感知し、現場へのチェックイン/チェックアウトができますが、当社では、現場はもちろん各社員がテレワークを行う施設や自宅も登録させています。サテライト勤務の社員も、いつ何処にいたか把握できるわけです。また、チェックイン/チェックアウトで正確に記録が残るので、メモ機能で何をやったか書き加え、そのまま日報として使います。以前はこの日報を記憶に頼って書いたりコピーして出力していたため手間がかかり、内容も信頼性に欠ける部分がありましたが、いまは完全ペーパーレスで手間もかからず内容も正確です。管理者も前のように「本当にこの時間ここにいたか?」確認する必要はなくなり、手間が省けました。居場所を把握されることに抵抗があるかな、と危惧しましたが、意外と皆平気のようですね。また、掲示板機能は定例会議の時、資料を共有するのに使っています。これもペーパーレス化された業務の一つです。とにかく機械でやった方が便利な作業を、わざわざ人間がやる必要はないわけで……福井コンピュータには今後もより良い製品とサービスの開発を期待したいですね。
──貴社Blogで現場Plus情報を拝見しました
飯田氏●あれも私が書いています(笑)。現場Plusユーザーは全国にいますし、使い方もいろいろ。別の使い方があれば私も知りたいので、互いに発信し共有しあって行けたら良いなと思っています。実際、ここから全国の建設会社との繋がりも生まれ始めています。