A-Style Forum VOL.10 開催!「2025年省エネ適合義務化への取り組みとは?」
今年6月、建築物省エネ法等が改正され、2025年度までに原則として全ての新築住宅の省エネ基準への適合が義務化されます。待ったなしの状況下、対応をお悩みのお客様も多いのではないでしょうか。そこでこの10月21日、福井コンピュータアーキテクトは住宅情報発信イベント A-Style Forum Vol.10 を開催。最前線からの最新情報と適確な対応へのヒントをお届けし好評をいただきました。ここでは同イベントから弊社社長挨拶と4つのセミナーの抄録をお届けします。
開会挨拶 福井コンピュータアーキテクト
代表取締役社長 田辺 竜太
「皆さん、こんにちは。第10回のA-Style Forum に多数ご参加いただきありがとうございます!」。そんな言葉で始まった田辺竜太の開会挨拶は、福井コンピュータグループが本年度よりスタートさせた中期経営計画の紹介から始まりました。そして、福井コンピュータグループの新テーマ「建設業の思いを創る。INNOVATION for ALL.」を紹介。社会を支える建設業とここで働く全ての人が、力強く未来へ歩んでいけるよう、ICT の技術を活用してより豊かな未来の実現をめざす──と力強く宣言しました。そして、今回のテーマでもある省エネ適合義務化や4号特例の縮小、働き方改革等と共に、設計業務が大きな転換期を迎えていると指摘。これらを見つめながら積極的に取り組んでいくと語りました。
「今回は『省エネ適合化』がテーマです。最後までお付き合いいただき、今後の皆様の取り組みにお役立ていただけたら幸いです」。
【セミナー(1)】
国土交通省 住宅局 池田 亘 氏
最初のセミナーは池田亘氏による「改正建築物省エネ法等に関する最新動向」です。池田氏は今回の改正の背景から語り始めました。
「2050年のカーボンニュートラルや2030年度の温室効果ガス46%削減等の高い目標に向け、地球温暖化対策等の計画が見直され、各分野の削減目標が強化されました。特に建築物分野の省エネ対策が加速され、2050年には既存ストック平均でZEH・ZEB水準の省エネ性能確保を目指します。そこでその前段として、まず新築のZEH・ZEB水準の省エネ性能確保が2030年までの目標とされたため、抜本的取り組み強化が必要でした」。残り時間は少なく、業界にはこの2030年度頃まで視野に入れた取り組みが求められています。
こうした背景を踏まえた取り組みの内容と狙いについて、池田氏は以下の4点を挙げました。まず全ての新築住宅・非住宅への省エネ基準適合義務付けによる、省エネ性能の底上げ。また住宅トップランナー制度の対象拡充や省エネ性能表示の推進による、より高い省エネ性能への誘導。さらに住宅の省エネ改修の低利融資制度の創設や形態規制合理化等によるストックの省エネ改修推進。そして再エネ導入効果の説明義務化や形態規制合理化による再エネ設備の導入促進という4点です。
ここから木材利用促進のための建築基準合理化や省エネ関係の今後のスケジュールまで紹介を進めた池田氏は、さらに省エネ基準適合義務と販売・賃貸時の省エネ性能表示の2点をピックアップ。詳細に渡り徹底して具体的な、かつ行き届いた解説が行われました。
【セミナー(2)】
エクスプランニング 古橋 宜昌 氏
「皆さん、こんにちは。エクスプランニングの古橋です。私の専門は住宅の外部空間。いわゆるエクステリアです」。池田氏に続いて登壇したのはエクステリアのプランニング&設計を専門とする一級建築士の古橋宜昌氏です。エクステリアデザインの専門会社 エクスプランニングを率いる同氏は、エクステリア専門校の学長も務めるなど、エクステリアデザインの第一人者です。古橋氏はまず、自身の手による事例を取り上げ、『建物』と『庭』の良い関係づくりに成功した例を紹介していきました。そして、たとえばシンボルツリーと呼ぶ「その家のシンボルとなるような木」を植え、家としての個性を生み出すなど、実践的なノウハウを次々と開陳していきます。
続いて古橋氏は、そうした「建物と庭の良い関係」作りのベースとなる、効果的な「良い関係づくりレシピ」= デザインやプレゼンのポイントを紹介していきました。たとえば、建物配置図の段階で外部空間も描くべきであること。狭い敷地に建蔽率ギリギリの建物を計画すべきではないこと。建物とエクステリアを調和させる手法。エクステリアは「やる・やらない」より、予算に合せ「どこまでやるか」を考えたグレード別提案が重要なこと、避けられがちな北庭に豊かな可能性があること……多くの実例を引きながら、古橋氏は具体的に解説していきました。「私の講演を聞いて多少はエクステリアへの考え方が変わってきたでしょうか。明日からのお客様への提案に、少しでもエクステリア要素を添えてもらえたら嬉しいですね」。
【セミナー(3)】
佐藤工務店一級建築士事務所 佐藤 喜夫 氏
「こんにちは。埼玉県上尾市で工務店を経営している佐藤喜夫です。本日は2025年に決まった省エネ適合義務化と2050年のカーボンニュートラルに向けて、当社の新築・既存リフォームでの対応について事例を元にお話します」。実際、佐藤工務店は資産価値の高い家づくりと高い技術力で知られ、いち早く全棟長期優良住宅や許容応力度計算による耐震等級3、全棟ZEHの家づくり等々、業界の流れを先取りする企業として知られています。
「ところで皆さん、2025年に向けて準備はできていますか?」と佐藤氏は受講者へ問いかけます。現在は合法の無断熱の家や断熱基準未満の家も、3年後には既存不適格となります。後で合法化しようにもリフォーム費用が上がって売買時に問題となり、2025年以降の資産価値はガタ落ちだと佐藤氏は言います。また電気代が高騰するなか断熱性が低いと光熱費が問題だし、2025年には4号特例も縮小して必要壁量も増える予定です。当然、断熱も構造もきちんと計算しなければなりません。
「では、その計算を内製化しますか?アウトソーシングしますか? 差し迫った事態にどう対応されますか」と佐藤氏はさらに問いかけます。前述の通り、こうした状況を先取りし同氏は果敢に新技術に挑み、学び、試し、そしてARCHITRENDを活用してきたのです。
「ゲームはチェンジされました。2050年のカーボンニュートラルへ向け、そして、子どもたちが安心して暮らせる未来に向けて、いま私ができることを実行したいと思います」。
【 福井コンピュータアーキテクト 新製品紹介】
A-Style Forum 最後の講師は福井コンピュータアーキテクトの青柳克彦。テーマは無論ARCHITREND ZERO Ver.9(以下ZERO Ver.9)の紹介です。青柳は受講者に問いかけます。
「2025 年の省エネ基準適合義務化に向け、不安やお悩みはありませんか。たとえば外皮性能計算に難しさを感じる。あるいは省エネ基準適用義務化による申請業務への不安。また外皮性能を考慮したプランニングの難しさ等々さまざまな思いがおありでしょう。そんな皆さまの思いを受け止めるのが、省エネ設計機能を大幅に拡張したZERO Ver.9です」。青柳はその場でZERO Ver.9を繰ってデモを進めながら、各新機能の紹介を開始します。
まずは平面図を作りながら外皮性能を検討できる平面図外皮チェック機能により、プランニング段階で省エネ性に考慮したプラン検討が可能になりました。また外皮性能計算断熱仕様の登録画面を一新。屋根・壁床・基礎の断熱仕様がビジュアル化され設定しやすく、自社断熱仕様の構築も簡単です。さらに外皮性能設定後に等級や一次エネルギー消費量等を確認し、施主への提案に便利な省エネナビで説明義務化対応も容易です。またWeb申請段階ではチェック機能が大きく強化されたほか、ARCHITREND Driveとの連携により施主等とのデータ共有もいちだんとスムーズになっています。
「外皮性能計算を効率化したい方、省エネ設計に取り組みたい方、クラウドを活用し施主とのコミュニケーションを充実させたい方等々……ぜひZERO Ver.9をご検討下さい!」