A-Style Forum VOL.12開催!「今後の市場動向を見据えたリノベーションの極意」
住宅着工件数が減り続け新築からストック住宅へのシフトが加速するなか、リノベーション&リフォーム市場が緩やかな成長を続けています。他方では「4号特例」縮小や省エネ適合の義務化の流れはもはや待ったなしとなっています。今回の住宅情報発信イベントA-Style Forum Vol.12では、こうした激動の時代にフォーカス。最強の講師3人を招き対応へのヒントを発信しました。ここでは3セミナーと福井コンピュータアーキテクトの新商品紹介の抄録をお届けします。
【セミナー(1)】快適空間の総合プロデュースを実現!ARCHITREND ZEROのリノベーション活用事例
まず登壇したのは一級建築士事務所 アクティブ・プロパティマネジメントの代表 伊藤優一氏です。独自の不動産ソリューションビジネスを展開する同社では、不動産業者や買主からインスペクションと耐震診断の依頼も多く、そこからの紹介受注が全体の約80%を占めています。そして、その中核に伊藤氏流のARCHITREND ZERO活用があると言います。
「インスペクションも耐震診断も、そしてリノベーションも私は現況図の作成に一番力を入れます。それが終われば計画図作成。併せてフルリノベーションはもちろん部分的リフォームの場合も耐震診断を一通り行い、断熱改修も併せて検討しています。依頼されてなくてもです」。現状では現況図作成は手描き中心ですが、これは「りのべっち」導入で変わるかも知れないと興味津々のご様子です。
「インスペクションは現況図から報告書を作るので、ここからARCHITREND ZEROを使います。この段階で不動産業者と話せばリフォームへ移行しそうな物件は何となく分かるので、ZERO化してしまうことが多いですね」。インスペクションや耐震診断を引き受けた物件とか、不動産仲介業者から依頼され買主の要望があれば内覧に同行し、その時は不動産会社の持つ間取を元にその場でリフォーム金額を概算。買主の購入意欲を高めることで、当然のように設計監理の依頼も来る、と伊藤氏は言います。現況図からZERO化して計画図を作り3Dモデルをお客様と共有。時にはVRまで用いて打合せ、その属性データを活かして耐震改修や断熱改修等の計画。もちろん積算にも連携……。ZEROのデータを縦横に活用し、多様な業務の効率的な運用手法が詳細に紹介されました。
「私はARCHITREND ZEROを“こうあるべきだ” という使い方はしておらず、自分が使いやすいように使っているに過ぎません。皆様もそれでいいのではないでしょうか?」。
【セミナー(2)】二度と散らからない!収納&デザインリノベーションセミナー
続いては「インテリアと収納を通じて人生が豊かになる住まい」を提案し続けているアンジェ・リュクスの代表 森下純子氏の登場です。森下氏は、新築して2年ほどのお客様から「二度と散らからない暮らし」作りを依頼されることが多いのだ、と語り始めました。
「せっかく家を建てたりリフォームしたりしたけど、やはり収納が片付かない。散らかってしまう。そういったお客様がとても多くいらっしゃいます」。二度と散らからない暮らしを手に入れるには、どうしたら良いのか? どんな家を建て、どんなリフォームをすれば良いのか。森下氏は収納とインテリアに関する3 つのポイントを上げました。まずインテリアでデザイン価値を上げる空間を作ること。次にそのお客様に合った収納計画。さらにお客様の片付けスキルを上げるノウハウの提供。この3つが重要だと森下氏は語ります。
「なぜ片付けても散らかってしまうのか? よくお客様はおっしゃいます。そして、理由として挙げるのは、モノが多い。捨てられない。収納が使いづらい。……散らかる原因はとても複合的で、住まう人により家により変わるものです。だからリノベーション・リフォームする時は、モノの物量やその方の片付け方、癖に合わせた収納計画が必要になります」。そう言って森下氏は、具体的な事例を上げながらさまざまな「対策」を紹介していきます。
たとえば、片付け動線の重要さ。ウォークインクローゼットの中は動作寸法を75cm取るべきであること。死蔵品を作らない提案の大切さ。さらにはマトリクスを活用したインテリアスタイル打合せや企画、配色バランス等々に至るまで、豊富な現場経験に裏付けられたアイデアが惜しみなく紹介されました。
「新築後あるいはリフォーム後、1年も悩んでしまうのは、時間も人生も本当にもったいないと思います。私はそんなお客様の収納とデザインにまつわるモヤモヤを“はぴはぴ”にするため、これからも活動していきます」。
【セミナー(3)】いよいよ迫る!四号特例縮小と省エネ適合義務化の最新動向
三番目の、最後のセミナーはハウスプラスの都出卓男氏が登壇。建築物省エネ法の改正と建築基準法の改正、それを受けて2025 年度以降どのように対応すればよいのか、具体的な対応策(案)について講演下さいました。
「まず2025年4月からどのような省エネ基準の適合が義務化されるのか?と言えば、原則全ての新築住宅・非住宅に、省エネ基準適合が義務付けられます。現時点では小規模の住宅であれば説明義務に留まっており、中規模住宅であっても届出義務まででしたが、25年4月以降は全て適合しない限り建築確認が下りません」。そう語った都出氏は、その省エネ基準適合で求められる評価方法はどのようなものなのかについて説明。さらに2025年度の義務化は実はゴールではなく、その先に置かれている「2030年までにZEH水準仕様の標準化」をゴールとすべきだと提言します。
続いて建築基準法の改正ですが、まず建築確認検査の見直しということで2025年4月(予定)には4号特例が変わり、そもそも4号建築物の名称自体無くなる予定です」。そして木造2階建であれば新2号建築物に、平屋建200平米以下なら新3号建築物となるのです。一般に普及している2階建木造住宅は新2号建築物に該当し、全地域(都市計画区域外であっても)で建築確認検査が必要となるという訳です。なお、新2号建築物は構造・省エネだけではなく法規LVSの審査も増える(予定)とのことです。都出氏はさらに基準法改正の2つ目として、新たに必要な壁量や柱小径に関する規定についても具体的に解説していきました。
「最後に2025年以降の対応策(案)ですが、とにかく審査する側にとっては審査する棟数が増え、書類も増えることになります。当然ながら審査の所要期間も延びる可能性があります。ですから皆様はこのことも考慮のうえ、標準工程も今のうちに検討いただく必要があるでしょう。加えてローン減税補助事業については、BELS評価を標準化することが、来るべき2025年・2030年への確実なワンステップになるのではないかと思います」。
【製品紹介(1)】iPad/iPhone専用リノベーション現況調査アプリ「りのべっち」
セミナー間の新製品紹介コーナーでは、まず福井コンピュータアーキテクトの山本義人が登壇。本年9月にリリースしたリノベーション現況調査アプリ「りのべっち」をご紹介しました。
「りのベっちなら現況調査はiPad/iPhone のカメラで部屋の中の壁や床、天井、建具、家具等を3Dスキャンするだけで、ワンボタンで現況図を作成。手間や時間のかかる大変な現況調査業務をこれ一つで完結し劇的に効率化することができます」。3Dスキャンの様子や現況図入力、下図読込、さらに建材シミュレーションなど実演を交え解説しました。また実際の空き家で、りのべっちとアナログそれぞれの現況調査時間を検証。りのべっちでは約1/3に短縮できたことをご紹介しました。
【製品紹介(2)】ARCHITREND ZERO Ver.10 バージョンアップ内容のご紹介
次に福井コンピュータアーキテクトの下口大吾がARCHITREND ZERO Ver.10のバーションアップ内容を紹介しました。
「ARCHITREND ZERO Ver.10では新オプション“リノベーション”をリリース。現地調査から計画積算まで、リノベーション業務をトータルに支援します」。りのベっちのデータ取り込みや耐震診断、現況図・計画図を並べて表示などのリノベーション機能をはじめ、省エネナビやV-styleの強化機能を解説しました。「新築もリノベも一気通貫!ARCHITREND ZERO Ver.10をぜひご利用ください」。
※リノベーション特設サイト開設中!
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