G-Style Forum VOL.4 開催!「次なる未来を拓くGLOOBEの進化」
2024年5月に躯体計画や仮設計画を強化した「GLOOBE 2024」をリリースした福井コンピュータアーキテクトでは、6月14日にこれを紹介するBIM情報発信イベント「G-Style Forum Vol.4」を開催しました。
話題の「建設×AI」の可能性からゼネコンによる施工BIMへの挑戦、専門工事会社による仮設BIMの取り組み等々ユニークなセミナーが多数の参加者を集め、大盛況となりました。ここでは当日配信された3セミナーと商品紹介の抄録をお届けします。
【セミナー(1)】「将棋AIが導く、建設業界の未来」
まず登壇したのは、いま話題のAI技術を活用した多様なサービスの企画・開発・運用を行っているHEROZ株式会社の増田圭介氏です。日本におけるAIとの先駆的対話者である同社は、最先端のAI技術で将棋業界の変革に貢献した企業としても知られています。増田氏は語ります。
「HEROZは、第3次AIブームでまだ市場が成熟していなかった2009年に創業し、プロ棋士にも勝利した将棋AI搭載の「将棋ウォーズ」を2012年にリリース、BtoBにも事業を広げ2018年に上場し、着実に成長を続けてきました。2000年代はまだBtoCのソーシャル・モバイル領域くらいしかAIの活躍フィールドがない中、いち早くBtoBへ進出し、エンタメ、金融、建設を重点領域とし多様な産業分野の方と共にAIを社会実装していきました……」。同社はAIを通じた産業変革のエキスパートであり、「深層学習を用いた世界最強の将棋AIを構築した技術力」と「人とAIの共創関係の設計力」を強みとしています。
「この強みを活かし、我々は独自のAIX(AI Transformation)支援サービスを創出。BtoB事業向けに応用展開しています。AIテクノロジーを用いて、業界に眠る能力や価値の解放・ナレッジマネジメントへ組み込み、企業の知識基盤を強化することで、企業は組織全体のスキルアップとイノベーションの促進が期待できます」。では、これを建設業界に応用すると何が起きるのでしょうか? 増田氏は将棋業界を例に解説します。「将棋ではAIが棋譜を解析し将棋学習をサポートしますが、建設業界でも熟練技術者のノウハウをデジタル化し共有できます。また将棋界でAIがリアルタイムに指し手を助言するように、建設業の現場でもAIがリアルタイムで支援できるはずだし、将棋界でAIによるアプリ対局練習が行われるように、現場での実践的トレーニングをVRやARで行うようになるでしょう」。そう言って増田氏は、工期遅延リスク検知システムを始め実運用が始まったAIX支援サービスを複数紹介。建設業界でのAI活用がもたらす豊かな可能性を力強く示しました。
【セミナー(2)】「~時代は劇的に変わった~手描きからCAD…そしてBIMへ」
続いて茨城県水戸市と東京都新宿に拠点を持つ株木建設株式会社 設計部の2人が登壇します。まず設計部室長の我妻輝信氏が、自身の経験を踏まえて建築設計の変化を概観していきました。
「20代後半まで手描きだった私がCADに初めて触れたのは10代後半、MS-DOS版Jw_cadでした。やがてWindows対応したJWは業界を変えました」。Jwユーザーとなった我妻氏ですが、30代初めARCHITREND Z(現 ZERO)と出会い3Dの世界を知ります。「そこから長くZとJwを併用した私ですが、2015年に転職した当社でGLOOBEと出会ったんです。BIM導入で設計プロセスは一変しました。3Dモデル中心の設計アプローチが設計の可視化と検証を容易にし、設計変更への対応も迅速化。設計品質や生産性の向上をもたらしたのです。……当社のこの取り組みの詳細は、当部で最もGLOOBE Architectを使いこなしている山岸が紹介します」。我妻氏からマイクを受け取った山岸氏は自社の事例を元に語り始めました。
「ご紹介する建物はグループ会社の新社屋でSRC造+ S造の7階建て。総面積約3,000平米弱の建物です。初めてのBIMでどこまで設計できるか試す狙いもあり、法規チェックや申請図、実施図もGLOOBEでの作成を目指しました」。初めてのBIM設計に不安や難しさもあったが、GLOOBEを使い込むうちそれらは徐々に消えたと言います。「いろいろ気づいたんです。モデル入力すれば短時間で多くの成果物が生まれ、それらは多様に活かせる。それは楽しさとやりがいに繋がりました」。山岸氏はGLOOBEの強みとして、モデル入力で即生成される3Dモデル、法規チェック機能、実施図作成の3つを挙げました。これらを駆使し同氏は実質1人で取り組み、モデル入力から確認申請図~実施図作成までわずか4カ月で終わらせたのです。
大きな成果をもたらした山岸氏の講演を受け、我妻氏もGLOOBEを中心としたさらなるBIM挑戦への意気込みを語り、講演を終えました。
【セミナー(3)】「職人のための専門工事会社における仮設BIMの取り組み」
続いて登壇したのは、札幌市の専門工事会社である鈴久名建設株式会社の専務取締役 鈴久名徹氏です。ゼネコンの下請けとして多様な専門工事を行う専門工事会社にとっても、BIMの導入・活用はいまや最優先の重要課題となっています。しかし、実際の取り組みにはゼネコンとは異なる問題がある、と鈴久名氏は語ります。
「BIM導入を検討中の会社も多数あるでしょうが、専門工事会社のBIM導入は一般的なゼネコンのそれとは異なります。特に会社の誰が先頭に立って進めるのか?は難しい問題です。通常なら社長が“おい、BIMソフト買ってきたぞ。お前やれ”となるでしょう。でも、そうやっても活用できない会社が多々あります」。これを避けるためには、導入を考えた社長や専務が率先してやるべきだと鈴久名氏は語ります。実は同氏自身、BIM導入の発案者としてGLOOBEを採用し、率先してこれを使ってきたのです。
では、実際にどのようなことにBIMを使っているのか?職人のためのBIM活用9項目を紹介します。すなわち ①施工方法の検討・確認 ②危険箇所・危険作業の拾い出し ③工事内容、作業方法、作業員への周知 ④作業手順周知・理解度アップ ⑤作業前安全ミーティングの資料作成、周知 ⑥施工方法の顧客への提案 ⑦見積の迅速化 ⑧将来の改修工事に備えてBIMデータ集積 ⑨元請け業務の一部引受け がその9項目。内容を見ると現場で働く職人の工事会社らしく、まず現場での安全のためのBIM活用に注力していると分かります。講演では、注意喚起や職人に安全な作業工程を伝えるために鈴久名氏が作った様々な図版やCG、ムービー、動く作業手順書や提案書等まで紹介されました。
「建設業の第一目的は良い建物を早く、効率的な価格で提供することであり、CADもBIMもそのための道具です。特にBIMは、職人のための(現場と現場作業の)先回り案内ツールとして非常に有効です。ご同業の皆さんも、ぜひそんな観点でBIM活用を考えてみてください」。
【セミナー(4)】「GLOOBE2024 のご紹介」他
ゲスト講演の間に、福井コンピュータアーキテクトの情報発信も行われました。BIM商品開発室 谷原康介はGLOOBE 2024 Architectの新機能を中心に法規チェック機能や図面作成機能、データ連携機能を実機を操作しながら紹介。さらにWebブラウザでGLOOBEモデルを表示するGLOOBE WebViewerもお披露目します。
GLOOBE 2024 Constructionの紹介はBIM商品開発室 前田和也が担当。躯体工事や仮設工事等の新機能はもちろん、施工モデル作成の手順等についても実機を用いたデモで分かりやすく解説しました。
続いてはGLOOBEのユーザー会であるJapan-BIM Connect(JBC)の事務局を務める営業企画課の野路皓平が、JBCの活動報告を行いました。設立して1年経つJBCは現在会員数が500名を超え、その活動も活発化しつつあります。野路はJBCのさまざまなメリットを解説し、より多くの参加を呼びかけました。
そして、最後に登壇したBIM事業部部長の山崎敬史が、参加してくれた全ての視聴者に感謝の言葉を送り、セミナーを締めくくりました。