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A-Styleフォーラム Vol.14(2024年10月18日)

A-Style Forum VOL.14開催!「徹底解説 2025年法改正クライマックス」

今回で14度目の開催となったA-Style Forumは、4号特例縮小の施行が迫る建築基準法改正と省エネ適合義務化となる建築物省エネ法改正へ、通算三度目のフォーカス! 建築業界へのインパクト必至な、この2つの法改正の具体的な内容とポイント、そしてその効果的な対処法について、3人の専門家が異なる角度から深く踏み込んで語ってくれました。予約数も3,000名様を超える人気となった、この3つのセミナーに加え、この法改正にいち早く対応したARCHITREND ZERO Ver.11紹介の抄録をお届けします。

【セミナー(1)】続 法改正に備えるための設計・申請ポイント

ハウスプラス住宅保証株式会社 都出卓男氏

 最初に登壇したのはハウスプラス住宅保証の都出卓男氏です。2025年の法改正をテーマとするA-Style ForumはVol.12、13に続き今回が3度目となりますが、都出氏はその全てに登壇。今講演もまた、最新の情報と知見が網羅されたきわめて濃密な内容となりました。

 都出氏が用意した講演の内容は以下の3つ。
(1)2025年4月から改正される3つのルール
(2)法改正に備えるための設計・申請ポイント
(3)法改正で想定されるリスク

ただし(1)は時間不足で割愛され、今回は(2)(3)のテーマで進められました。都出氏はまず(2)について省エネの仕様基準と性能基準の問題に注目。省エネ基準適合義務化において基準適合のジャッジは一般に省エネ適判によりますが、住宅ではこの省エネ適判を省略できるルートも設けられます。それが仕様基準等への適合、設計住宅性能評価、長期優良住宅という3ルートで、都出氏はこれらを利用し審査手続きを合理化する手法について語りました。さらに構造関係規定に関しては、必要壁量を容易に算定できる新表計算ツールの利用法や2つの法改正直後の着工物件の対応法についても、具体的な注意点を指摘しました。

 続いて(3)法改正で想定されるリスクに関しては、まず構造安定性を仕様規定のみで確認する場合、伏図添付を省略できるが梁せいには安全確保の根拠を持っておくべきであること。また耐震等級2以上を取得する際の注意点として、単純に必要壁量を基準法の1.5倍にしただけでは耐震等級3には相当せず、契約不適合リスクが拡大する等を指摘。等級2以上を証明する住宅性能評価書や長期優良住宅認定通知書を紹介。さらに令和4年の建築物省エネ法改正により再エネ設備設置が促進され引渡後にも設置希望が増える可能性があるため、その際の必要壁量・柱小径不足のリスク等注意点を挙げ、アフターリフォーム拡大の準備を進めることの重要さを指摘しました。

「続 法改正に備えるための設計・申請ポイント」(セミナー画面より)

【セミナー(2)】南海トラフ地震に備える! 現代の住宅にこそ必要な構造設計とまずやるべき事

株式会社evoltz 一級建築士事務所 早川浩平氏

 続いて木造住宅用制振装置を開発・製造する株式会社evoltzの早川浩平氏の講演です。同社の制振装置evoltzは耐震と組み合わせることで揺れを抑え、木造住宅の初期性能を保つ装置として注目を集めています。そんな同社の早川氏が、耐震・制振の経験を通じて得た豊富な知見を活かし大地震に「耐える」だけでなく「住み続けられる」木造住宅のための新たな構造設計について語ってくれました。

 「私の講演のポイントは1つだけ、『日本最高クラスの耐震性で南海トラフ地震に備える』です。日本ではどこでも巨大地震の可能性があります。その時、お施主様=住む人たちが、その家に住み続け生活できるか?は、家造りのプロである皆様にかかっています」。早川氏はまず能登半島地震の被害を紹介し、築十数年の建物も倒壊した状況を分析。建築基準法で安全な耐震性とされる耐震等級1も「震度6~7の地震が1度来てもギリギリ倒壊しない」レベルに過ぎず「その家に住み続けられるか?」のレベルではないと言います。そして、必要なのは、2016年の熊本地震で震度6~7クラスの地震が2回来ても倒壊0だった等級3レベルの家だ、と指摘。大きな揺れが繰り返される大地震から住宅性能を守り、見た目ではわからない耐震性の被害をも抑えるには、「耐震等級3+制振」が必要であることをさまざまな実験データから論証していきました。

 講演後半では、この「住み続けられる家」を建てるには、品確法の計算ではカバーしきれない構造の重要部分をチェックするため、許容応力度計算がどうしても必要であることを語ります。「許容応力度計算を行えば各部の安全性が正しく確認でき、さらには今回の法改正対策にも繋がるのです。許容応力度計算に移行すると面倒が増えるという方がいますが、実はその手間は元々の間取りに問題があることを示しています。構造ルールに基づいて意匠設計し構造計画を考えておくことで、構造計算のハードルは下げられるのです」。早川氏はそう語り、講演を締めくくりました。

「南海トラフ地震に備える! 現代の住宅にこそ必要な構造設計とまずやるべき事」(セミナー画面より)

【セミナー(3)】2025年法改正に向けてお客様に伝えたい“外皮計算の大切さ”

ループスアーキテクト一級建築士事務所 吉本高広氏

 三番目に登壇されたのは福岡市のループスアーキテクト一級建築士事務所の代表取締役社長 吉本高広氏です。同社は省エネ性や耐震性に優れた高性能な木造住宅の設計サポートに特化したプロ集団。彼らを率いる吉本氏は、お客様にとっての省エネ住宅の重要性とそのことを分かりやすく伝えることの大切さについて、実経験に基づいて具体的に語ってくれました。

 講演はまず4号特例縮小と省エネ基準適合義務化について概観し、さらに新築とリノベーションそれぞれの場合の対応ポイントについて詳細に解説。吉本氏は改正部分をきちんと読み解くことの大切さを強調しました。そして、2025年の省エネ基準適合義務化と断熱性能等級4への対応を確実にクリアするのは当然として、目指すべきはさらにその先── 2030年に断熱等級5を取れるようにすること。それが最も大切なのだと吉本氏は断言します。

 いまや多くのお客様が「高性能は当り前」と感じるようになっており、家を建てるほとんどの人が高性能な建物を望むようになっています。吉本氏自身もお客様から「暑い・寒い」はもちろん、それ以上に「結露の有無」を問われることが多く、お客様の求める性能を調べてバランスの取れた断熱性能を考え、提案することを重視していると言います。吉本氏によれば、お客様の相談を受けたらまず現状の住宅での不快感をチェックするため、CASBEEの「健康チェックリスト」や独自のヒアリングシート等を用いて詳細な聞き取り調査を行い、ZEH やG2、G3 等についても分かりやすく紹介した上で、どのように対応しどんなレベルの住宅性能を実現するのか。補助金や予算も含め細かく打ち合わせ、お客様の意志を確認しながら進めていくと言います。
 さらに吉本氏は構造や外皮計算関連の打ち合わせや提案では、ARCHITREND ZEROを用いて「お客様にすべてを数字で見せる」ことの効果を強く訴えて、講演を終えました。

「2025年 法改正に向けてお客様に伝えたい“外皮計算の大切さ”」(セミナー画面より)

 

 

LIVE配信の撮影風景

【製品セミナー】法改正対応!ARCHITREND ZERO Ver.11 のご紹介

福井コンピュータアーキテクト 住宅建材事業部 住宅商品開発室
青柳克彦(左)と石本拓也(右)

 最後に登場したのは福井コンピュータアーキテクト 住宅建材事業部の若手コンビ、青柳克彦・石本拓也です。リリースされたばかりのARCHITREND ZERO Ver.11の法改正対応の新機能を中心に、これを実際に操作しながら紹介します。

 まず青柳は壁量計算の新基準に対応した木造壁量計算2025を取り上げました。これは必要壁量に表計算ツールの計算方法を採用。設定も一括で行え、他図面や物件情報が連動し図面間の不整合も防ぎ、係数も瞬時に算出できます。壁量検定の他に柱の検定や申請図書も一新。壁量検定から柱検定、申請アウトプットまでトータルに対応しました。

 続いて石本は省エネ関係の法改正対応について語ります。従来、性能基準での申請を外皮計算と省エネナビでサポートしてきたARCHITREND ZEROが、新機能として省エネ仕様基準を追加。性能基準・仕様基準どちらでも申請可能となったと語り、さらに省エネナビの新機能も紹介して講演を終えました。

「法改正対応! ARCHITREND ZERO Ver.11のご紹介」(セミナー画面より)

福井コンピュータアーキテクト 営業部 営業企画課 市原照久(MC担当)

A-Styleフォーラム Vol.14(2024年10月18日)

■開催日時/2024年10月18日(金)
      13:30~16:00
■参加費/無料(事前申込制)
■開催方式/YouTube LIVE配信

■テーマ
4号特例縮小・省エネ適合義務化はすぐそこに!
徹底解説 2025年法改正クライマックス


【セミナー(1)】
ハウスプラス住宅保証株式会社
西日本営業部長 都出卓男 氏
「続 法改正に備えるための設計・申請ポイント」

【セミナー(2)】
株式会社evoltz 一級建築士事務所
設計グループ 課長 早川浩平 氏
「南海トラフ地震に備える! 現代の住宅にこそ必要な構造設計とまずやるべき事」

【セミナー(3)】
ループスアーキテクト一級建築士事務所
代表取締役社長 吉本高広 氏
「2025年法改正に向けてお客様に伝えたい“外皮計算の大切さ”」

【製品セミナー】
福井コンピュータアーキテクト株式会社
[新製品情報]法改正対応! ARCHITREND ZERO Ver.11のご紹介

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