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株式会社タナカホーム

パースコンテスト大賞受賞作に見るマル秘テクニック

大盛況だった第2回「強くてやさしい住まいの設計&パースコンテスト」。特にパース部門は応募総数300点を超え、多くの注目を集めました。「今年こそ出品してみたい!」とお考えの方も多いのではないでしょうか。そこで今回、第2回の大賞受賞者・北神久幸氏に、受賞作を例にパース作成の極意を話していただきました。

受賞作は「秋口の閑静な場所」というイメージですが、実はこのモチーフ選択には戦略があります。秋口の季節はコンテストの審査時期に合わせ、和風の夜景にしたのは他の応募作との差別化を図るため。応募作は洋風住宅の昼景が多いですからね。また和風なら内外観を同時に見せられるメリットもありました。既成概念に縛られず、両方見せる内外観というスタイルで、個性を主張したんです。

アングルに関しても同様で、ユニークかつ見栄えのいい角度を求めて20回以上試微調整を繰り返しています。特に見せたかったのは軒裏の化粧垂木。同時に室内の奥行き感も重視しました。

モデルに関しては、たとえば部屋の大きさなどは図面どおりですが、視点に近い縁側部分の柱は、どっしりした印象を生みだすため、現実より太めにデフォルメしました。この「視点に近い所に力を入れる」のは、コンテスト用パース作りの大きなポイントの1つですね。実際、視点に近い部分は、モデリングだけでなくライティングやテクスチャにも力を注いでいます。

ライティングそのほかの演出は、「秋口の閑静な場所」というイメージ最優先で、全体のバランスを整えています。特に室内から漏れる光の繊細さを表現するため、素材と光源のバランスに注意しました。テクスチャに関しては木の素材感がポイント。黒っぽい縁側に対して、白っぽい室内ではフローリングのテクスチャを柱や壁に使ってみました。そして内観や夜景のパースの場合、仕上がりに大きく影響するのがライティング。視点からの距離や光源同士の間隔、明るさ、角度等々、細かく計算しました。

――業務でここまで作り込む機会は少ないですが、だからこそ勉強にもなります。皆さんも是非チャレンジしてみてください。

※2007年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。