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宮川工機株式会社

法改正[影響と対策/プレカット業界]
意匠/プレカット間の連携が改正建基法対策最大のカギ

今回の改正建基法ではひとまず来年12月まで見送られた「4号特例の廃止」ですが、実は既に4割近い特定行政庁等が確認審査時の伏図提出を求めています。その意味で、木造在来が主体の工務店/設計者にとって、これらの伏図作成を担うプレカット工場との連携は、最優先課題の1つといえるでしょう。プレカット業界のパイオニア・宮川工機の本多和昭氏と宮川情報テクノの土井孝治氏のお二人に話をうかがいました。

構造設計の責任を負うプレカット工場

改正法のプレカット業界への影響は?

土井

当然、大きな影響がありました。8月のプレカット工場の稼働率は、全国平均で約75%まで落ち込みました。これはプレカット工場としても大手16社の平均ですから、中小を入れたらもっと悪い数字になったかも知れません。9月に入ってようやく動き始めてはいますが、巧く流れているとは、まだ到底いえません。改正が終わった訳ではなく先に控えているわけですし、先行きはまだまだ予断を許さない状況です。

プレカット工場の動きはいかがですか?

土井

これから先、プレカット工場が伏図作成を全て引き受けられるのかどうか、正直なんとも言えない部分があります。しかし、今まで全く伏図を書いたことがない1級建築士事務所に、いきなり「きちんとした構造設計を書け」といっても、そう簡単にできるものではありません。その意味で、やはり建築士・プレカット工場双方にとって、協力することが非常に重要になってくるのは間違いないでしょう。

プレカット工場もそれを意識している?

土井

申請のための構造設計を請負うには、建築事務所の看板をあげて行わなければなりません。看板をあげ、申請書類に判も押すということになれば、それだけ大きな責任を負うことになります。容易なことではありませんが、それでもおそらく全国のプレカット工場の9割は、その道を選ぶだろうと思います。もちろん現状ではまだ、大都市圏と地方で温度差がありますが、少なくとも改正建基法をきちんと研究し前向きに取り組んでいるプレカット工場は、すでに確実にその方向に動き始めています。

Zで意匠/プレカット間の連携を強化

意匠とプレカットの連携がカギですね?

本多

そうです。その意味でも、今回ARCHITREND Z Ver.3の構造伏図関連機能の開発に協力することができたのは、非常に大きな意義があったと考えています。

今回のコラボレーションのきっかけは?

本多

声をかけてもらったのは今年の春先ですが、交流はかなり以前からあります。もちろん今回のコラボは改正建基法対策への取り組みの一環ですが、意匠CAD分野ではあまり注目されることがなかった、木造軸組2階建ての構造をきちんと作りたい/設計したい、という福井コンピュータの思いを強く感じましたね。もちろんそれは私たち自身の課題でもありました。

ARCHITREND Zはご存知でしたか?

土井

もちろんです。やはり「世の中で一番売れている意匠CAD」というバリューは圧倒的です。そして総体的な技術の高さ、機能の豊富さ、CGなどの美しさなど、同じCADソフトを作っている我々の目から見ても、非常に素晴らしいですね。

本多

他の意匠系CADと比較すると、ARCHITREND Zは、意匠CADの出発点からつねに変わらず王道を歩み続けている印象があります。他のCADのように何かに特化してしまうということがない。意匠分野のベストセラーである所以でしょう。

今回、技術的な助言をいただいたのは?

本多

我々のプレカットCADの核にある技術は日本の伝統的な大工の棟梁の頭の中にあったもので、私たちはその構造に関わる部分をコンピュータに置き換えています。当然、非常に多岐にわたる技術ですが、今回はその最も基礎的なノウハウを幾つか提供しました。例えば構造ブロックからの伏図起しや小屋組みのノウハウ等です。ARCHITREND Zユーザの方には、ぜひこれを使ってプレカット工場と連携を取り、伏図のチェック等もきちんとできるようになってほしい。CEDXM連携など、意匠/プレカット間にはまだまだ多くの課題があります。福井コンピュータとの協力関係は今後も大事にしていきたいですね。

※2007年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。

本多 和昭宮川工機株式会社
営業技術部/部長代理

土井 孝治宮川情報テクノ株式会社
事業統括/課長

宮川工機株式会社

日本の伝統的な大工の木材加工技術を機械化し、プレカット加工機を開発した業界のパイオニア&ナンバーワン企業。プレカット加工機などのハードからプレカットCADなどのソフトまで、トータルに展開している。

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