新着記事

有限会社 戸田設計

外業も打合せも"iPadだけ"で!設計業の新しい形

分厚いカタログやかさ張る図面を抱え、移動も大変だった設計者の外業のあり方が、いま大きく変わろうとしています。iPadとクラウドを駆使した新時代の外業スタイルについて、一級建築士・戸田知治氏に伺いました。

外出時は「iPadだけ」が基本スタイル

外業でiPadを使っておられるとか?

戸田

というかiPadだけですよ。打合せも現場立合いも私はiPadだけ。ボールペン1本持って行きません。他に使うのはメジャーくらいですね。施主宅でも現場でもそれで不自由しないし、以前より遥かに効率的です。

iPad一つで仕事になるのですか?

戸田

たとえば進行中の案件の図面はPDF化してiPadに入れて持っていき、これで打合せするんです。変更の要望はiPad上で赤を入れます。建材カタログも同じ。iPadなら文字を簡単に拡大できるので高齢者の施主にも好評です。またZで作ったウォークスルーや日当りシミュレーションも入れておけば、手軽に3Dプレゼンできてこれも非常に効果的ですね。打合せが終わったら議事録にまとめ、すぐ施主にメールして相互確認。またスケジュールはGoogleカレンダーで管理するので手帳も要らなくなりました。

デジタル化されてない資料類は?

戸田

カタログや法規関連書籍などは裁断機でカットし、ドキュメントスキャナで電子化します。200~300頁なら裁断に1分、スキャニングに5分。あっという間です。ついでに雑誌等も同様にしてiPadで読んでいます。

現場にもiPadを持ち込むんですか?

戸田

もちろん! 現場は雨風や埃も多いので防水防塵の専用ケースが必須ですが、入れたまま操作できるので雨でも屋外で使えます。配筋検査等もiPadに入れた図面で「この柱OK!」なんてやってますよ。一度台風時に中間検査があり、激しい風雨で検査員の図面がバラバラに破けたことがありましたが、すぐiPadに図面を呼びだし続行してもらいました。iPad自体の破損や紛失を怖れる人もいますが、同じ図面がクラウドに入れてあるので、仮にiPadが壊れても問題ありません。

規模が小さいほど決定的な差が付く

なぜノートPCでなくiPadなのですか?

戸田

機能はノートPCでも同じですが、外で使うとなると軽くコンパクトで起動が速いiPadが断然使いやすいのです。WordやExcelの対応ツールやPDF図面に赤を入れるモノなど、多様なアプリが安価で手に入るのも魅力です。残念ながらARCHITREND Zは動かないので、図面は閲覧し赤を入れるだけですが、TREND Net計算倶楽部を使えばその場で建築計算や法規チェックもできます。現場で使う図面としてはそれで十分ですね。

iPad&クラウドの活用のメリットとは?

戸田

かなりの効率化とコストダウンが図れた実感がありますよ。図面出力しないので印刷代は激減したし、私もフットワークが向上し、業務全般が大きく効率化できました。たとえばある現場にいる時、別の現場から問い合わせがあった場合、従来はいちいち事務所に帰って図面を確認し回答していましたが、iPadならどこからでもクラウドに接続してその場で図面を確認できる。いつでもどこからでも事務所と同様に即座に対応できるんです。

そこで差がつく時代が来る?

戸田

もうそういう時代が来ているのではないでしょうか。特に個人事務所や小規模な工務店では、iPad等を活用して効率化できるかできないかで、決定的な差がつき始めています。デジタル化が遅れている中小企業は、一刻も早く取り組んでいってほしいですね!

※2012年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。

戸田 知治代表取締役
一級建築士

有限会社 戸田設計

所在地
東京都大田区
代表者
戸田 知治
開 設
1993年11月
事業内容
一級建築士事務所

よく読まれている記事