社団法人 沖縄県建築設計事務所協会
沖縄県建築設計事務所協会に見る
CALS対応の先進事例
設立50周年を迎える沖縄県建築設計事務所協会は、県に先駆けて「ARCHITREND 21」導入を決めCALS講習会を開催するなど、建築営繕のCALS対応をいち早く、積極的に進めています。その背景等について同協会の金城氏と眞玉橋氏に聞きました。
変化に素早く柔軟に対応する県民性
- 貴協会の特徴はどんなところでしょうか?
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金城氏
他県の多くの設計協会は設計事務所兼業の事業者も正会員にしているケースが多いようですが、当協会では専業の設計事務所のみを正会員としています。沖縄では歴史的に、設計は設計事務所が行ない、工事は工事会社が設計事務所の監理のもとで行なう、という棲み分けが慣習化しているんです。
- 沖縄の建築業界の市場環境は?
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金城氏
なかなか厳しいですね。公共工事が縮小され、民間にもそれが補えるほどの勢いがない。会員は営業力の強化や業務効率化を図りながら、景気回復を待っているような状況です。ですから協会も様々な形で会員の営業を支援しています。例えば協会のホームページから各会員のPRページにリンクし販促に結びつけたり、会員専用コーナーで最新の入札情報を伝えたり、協会がリードする形で会員のCALS対応を進めているのも、そうした会員支援活動の一環といえるでしょう。
- CALS対応活動を開始したきっかけは?
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金城氏
最初は県に呼ばれて国交省のCALS/EC推進に関する説明を受けたんですが、その後土木の方でCALSが進むのを見て、これは待ったなしだな、と。会員からは「まだ早いんじゃないの?」という声もありましたが、電子納品対応などは今のうちに勉強しておかないと、始まってからでは間に合わないと思ったんです。そこでまずCALS先進県である岐阜県を視察するなどして、具体的な活動を開始しました。
- 会員さんの意識も様々だったのでは?
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眞玉橋氏
もちろんそうですが、こうした変化に素早く柔軟に対応するのが沖縄の県民性かもしれません。ドラフター化の時もCAD化の時も、当協会の建築士は非常に前向きで。素早く受け入れ積極的に対応するんです。
いち早いCALS対策推進を県にアピール
- CALS対応活動の経緯をご紹介ください
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金城氏
まず重視したのは建築営繕の電子納品に対応できるCADを会員に提供すること。そしてもちろん会員向けの講座等も必要です。そこで協会推奨のCALS対応CADを選び、そのCADベンダーにCALS講座等で協力してもらおうと考えたわけです。
- 「ARCHITREND 21」を選んだ理由は?
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眞玉橋氏
実は最初、福井コンピュータを知らなかったんですが(笑)、調べるとCALS対応CADでも営繕の対応製品はほとんどなくて、その一つが「ARCHITREND 21」だったんです。で、OCF検定認証済みでキチッと営繕の電子納品ができ、手ごろな価格で、簡単操作で使えて……と絞っていくと、おのずと「ARCHITREND 21」に決まりました。
- CALS講座の方はいかがですか?
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眞玉橋氏
福井コンピュータの協力を得て、昨年7月のCALS入門篇からARCHITRENDを使った電子納品実務まで、1回20~25社を集め5回ほど開催。既に会員の約半数が受講しています。現在は公共工事の仕事が多い会員さんが中心ですが、今後も継続的に開き、会員全員に受講してもらう予定です。できれば離島などでも開催したいですね。
- 会員さんからの反響はいかがですか?
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金城氏
以前別の土木CADを使っていた会員の声ですが、「ARCHITREND 21」は格段に使いやすく、講座も至れり尽くせりだったということです。同様の感想は他からも数多く届いていますよ。……この講習会を協会は県に先駆けて行っていますが、これは県に対し「ここまでやっています」というアピールでもあります。実際、営繕の電子納品は我々がリードして行く、くらいの気持で取組むつもりです。福井コンピュータには、重要なパートナーとしてさらなる協力を期待したいですね!
※2005年発行のWind/fで掲載したものです。役職などは、取材当時のものです。