日本最小のZEH住宅で建築グランプリを受賞!
ARCHITREND ZEROを幅広く活用して
意匠と高性能を両立させ高い成約率を実現!
東京都江戸川区の株式会社アースは、東京と千葉の一部をメインフィールドに高品質な注文住宅づくりを展開しています。近年は「東京の暮らしを変える。」というビジョンのもとARCHITREND ZEROを幅広く活用し、東京ならではの狭小敷地で高度なデザイン性と高性能を両立させた独自の住まいづくりを推進。昨年は日本最小のゼロエネルギー住宅「7坪のZEH」により、国内最大規模の建築コンテスト「LIXILメンバーズコンテスト2018」のグランプリを受賞するなど、躍進を続けています。同社のユニークな家づくりについて、代表取締役の橋本氏とコンダクターの熊倉氏に伺います。
諦めを可能性に変えた「7坪のZEH」
- グランプリ作品「7坪のZEH」をご紹介ください
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橋本氏
まず背景にある当社のビジョン「東京の暮らしを変える。」を紹介しましょう。当社は長年にわたり東京をフィールドに展開してきましたが、この東京では、お客様はしばしば敷地の広さや建築条件、家族構成・子育て等の枠に囚われ、理想の暮しへの思いを抑えてしまいがちです。これは、そんな窮屈な枠を新しい発想で乗り越え、東京の暮らしを変えていこうというビジョン。ここから生まれた「7坪のZEH」は、その名の通り7坪という狭小な建坪でゼロエネルギー住宅を実現し、「狭小敷地でZEHは無理」という諦めを可能性に変えました。
- どういう経緯で「7坪のZEH」を?
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橋本氏
東京では独身者や二人暮らしの世帯が約6割にも達しますが、皆さんなぜか戸建でなくマンションを選びます。戸建て住宅は4~5人家族向けで、子孫へ受け継いでいくものという先入観があるのですね。しかし、4人家族向けの家は建て難い東京の狭小地でも、1~2人暮らし向けなら十分な家が作れます。そして、それが高性能なZEH住宅になれば長持ちするのはもちろん、価値も高まります。そうなれば同じライフスタイルの人が住んでくれるので、家族が増えて手狭になれば簡単に住み替えられます。そして、このコンセプトにあるお客様が共感してくだり、「7坪のZEH」が実現できたわけです。当社ではこれを新しいビジネスモデルとして発信中です。
- 実際の設計施工に多くの工夫を?
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橋本氏
「7坪でZEH」だからといって特別な工夫をしたわけではありません。私たちとしては、いつも通りこれを実現するためのアイデアを皆で出し合いながら、ARCHITREND ZEROを活用していきました。基本的には充填と外張りで外皮性能を向上させ、隣地が間近な狭小地住宅に太陽光パネルを設置してZEHを実現したのがポイントですね。もともと当社では「長期優良住宅」認定基準を標準仕様とし(「7坪でZEH」は床面積の要件が満たず低炭素住宅認定を取得)、耐震等級も「3」を取っています。もちろんZEHも数多く取組んでいたのでノウハウは十分あったのです。
ARCHITREND ZEROによるずば抜けた成約率
- 御社は成約率もズバ抜けていますね
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橋本氏
一時は成約率がほぼ100%でしたからね。現在も80%程度の成約率を維持しており、業界の平均を大きく超えているはずです。そのポイントですが、当社は全て自社で集客して販売するので、私たちの家づくりコンセプトに合ったお客様を集めることが重要です。つまり「自分たちはこういう会社だ」と旗を立てて共感してくださる方を集め、その期待を超えるプレゼンテーションを行って形にしていくのです。この時重要な役割を果たすのがARCHITREND ZEROです。
- ARCHITREND ZEROはどんな役割を?
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橋本氏
最も大切にしているのはお客様に「こんなはずじゃなかった」と決して思わせないことで、そのためのポイントとなるのがARCHITREND ZEROの活用法です。ARCHITREND ZEROを用いて、お客様が持つ理想の家のイメージと私たちが作る家のイメージを丁寧にすり合わせ、両者のズレをとことん無くして進めていきます。特にさまざまなビジュアライゼーション機能を駆使したプレゼンテーションと、手間なし積算によるスピーディな営業積算が威力を発揮しています。
- どのようなプレゼンを?
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橋本氏
最初に当社の理念に関するプレゼンを行った後、プラン提案の段階ではまずウォークスルーをご覧に入れます。そして、多様なパースや施工事例写真を一冊にまとめたイメージ・パンフレットと図面類をお見せしながら、具体的なプラン提案を行うのです。当然、これらは全てARCHITREND ZEROで作成し、イメージ集冊子の方はお客様に差し上げています。ご自宅に持ち帰ってご家族でじっくり検討していただこうというわけです。また、手間なし積算でいち早く見積りも提出できるようになり、利益もきちんと確保できるようになりました。実際、それまでは新築の粗利が15~16%でしたが、現在は30%を超えています。
プラン提案の作業全てがスピードアップ
- 粗利が倍増した?
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橋本氏氏
実は、以前はお金のことでミスマッチがあったのです。たとえば従来は「2500万円で建ててください」と言われてプランを作ると、そのプランに基づいてパートナー会社に見積りを依頼していました。実際に各社の見積りが届くのはプレゼン3日前で、これを合算すると3000万円ほどになってしまうことも多かったんです。調整する間もなく3000万円の見積りを出すと、「出せるよう頑張る」というお客様がいる一方、「プランは良いが3000万円は出せない」という方も出てきます。当然、成約率は落ち利益も減ります。そこでARCHITREND ZEROの手間なし積算を活用したわけです。これなら図面を描けばすぐ概算が出せますから、2500万円のプランと3000万円のプランを同時に提案することも可能になり、成約率の向上に大いに役立っています。
- 手間なし積算の整備には手間がかかりましたか?
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熊倉氏
これは主に私が担当しましたが、金額を弾き出す項目を増やしたり中身を精査したり、当初は「作っては修正」の繰返しでしたね(笑)。ブラッシュアップは現在も続けていますが、現在では図面をお客様に出せるレベルまで作り込んでしまえば、それに比例して金額もきちんとしたものが即座に出せるようになりました。この積算のスピードアップを中心に、ARCHITREND ZEROによってプラン提案の作業全体が大きく効率化されているのは間違いありません。
- 外皮計算もARCHITREND ZEROで?
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熊倉氏
残念ながらなかなか時間が取れず、これについては外注していました。でも、もう「ZEHはやって当り前」の時代ですし、今後はこれもARCHITREND ZEROでやっていくつもりです。実際、これまでは「ZEHを取っています」「環境に優しいです」と言っても裏付けとなる数値等を示せなかったのですが、自分たちでそれができるようになれば、プレゼンでもきちんと根拠を示せるようになる。……これを使わない手はないですよね。
- 今後の計画などお聞かせください
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橋本氏
「東京の暮らしを変える。」の次ステップとして、チーム化による家づくりを進めていきます。このビジョンを実現していくのは私たち1社では難しいですからね。今度はARCHITREND ZEROによるしっかりした設計図書をベースに施工をパートナー会社に任せていこうと計画しています。また、ARCHITREND ZEROについてはVRの活用にも注目しています。前述の外皮計算など温熱環境関連の機能と合わせてVRも導入し、プレゼンテーションもさらに強化していく計画です。
※取材:2019年3月