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松本設計ホールディングス株式会社

住宅市場縮小により住まい作りも量から質の時代へ!
施工も構造体の安全性も設計者が責任を負う時代
ARCHITREND ZEROの活用がカギとなる

1991年に構造設計事務所として設立された松本設計は、1998年にARCHITRENDシリーズを導入して木造住宅設計分野へ進出しました。そして、住宅メーカー各社から住宅設計の多棟数を受注し急速に業容を拡大。住宅・非住宅の構造設計から住宅設計、非住宅設計、さらに性能表示の申請サポート業務を4本柱に成長を続け、現在では中大規模木造建築物の設計監理や、ARCHITRENDユーザーによる全国設計士ネットワークの構築にも力を注いでいます。業界の未来を同社の多角的な展開について、同社代表の松本照夫氏に伺います。

課題は施工管理の体制と耐震性能

現在の住宅市場についてどうお考えですか?

松本

2007年の130万戸をピークとするわが国の住宅着工戸数は、10年後に60万戸まで落ち込む……という野村総研の予測は現在も変わりません。既存の住宅市場のボリュームは半分以下まで縮減することになるわけで、設計事務所も工務店も、生き残りを賭けて対策に取り組む必要がある。しかし、もはやローコスト住宅をバンバン売っていく時代は終わり、今後はきちんと裏付けある質の高い住宅を作り、責任を持って供給することがいっそう重要になります。

高品質な住宅作りのための課題は?

松本

大きく分けて二つあります。一つ目は住宅における施工管理に関してで……先般話題になった界壁施工不備事件でクローズアップされた問題と関連します。もともと日本では住宅施工の管理体制が遅れていて、非住宅建築物やS造、RC造などの工法に比べ現場立合いが手薄になりがちです。やはり木造住宅もきちんと非住宅建築物やS造、RC造などの工法並の管理体制を取るべきで、これは業界として取組む必要があります。そこで当社ではARCHITRENDユーザーを核にした設計士のネットワークを作り、メッセージを発信しています。

二つ目は?

松本

耐震性能の問題です。実際、熊本地震以降、木造2階建住宅でも許容応力度による構造計算を行うメーカーが増えていますが、今後はさらに耐震等級3を上回る制震工法などの検討が必要だと考えます。こうした取組みについても、設計者が主体となってメッセージを発信していかなければなりません。

それはなぜでしょうか?

松本

住宅建築は、本来、設計者が一番前に立って工事を監理し采配を振るうべきで、構造体の安全性も設計者が最終的な責任を負うからです。近年、プレカット業者が作成した構造図や地盤改良業者が作成した図面・計算書に対しても、設計者の精査が必要です。今後は、「耐震性能の見える化」として注目されているwallstat (※1)による検証も有効だと考えます。

※1 wallstatは、京都大学生存圏研究所 准教授 中川貴文氏が開発した、建物全体の地震動時の損傷状況や倒壊可能性を評価するための無料の倒壊解析プログラム

全国設計士ネットワークのセミナー

そこで前述の設計士ネットワークが力を発揮する?

松本

それを目指して勉強会などを開催しています。現状では半年に1回、ARCHITRENDユーザーを中心に20社ほどが集まって開催しています。さらに建築士改正など大きなトピックがある時は、ARCHITRENDユーザーだけでなく広く集まっていただき、外から講師を呼んで大々的に行うこともありますよ。

大型分譲から注文住宅へ

御社ご自身の住宅分野のビジネス状況は?

松本

2008年頃まで大手メーカーの分譲住宅を、中国に設けた専属CADセンターで50名ほどのスタッフがARCHITREND ZEROをフル回転で入力していました。月産100棟年間1200~1300棟という凄い生産性でしたが、これもARCHITREND ZEROだからこそでしょう。2008年以降、こうした大型分譲は縮小し注文住宅が多くなっています。中国のCADセンターも縮小しましたが、それでも月産は50棟平均。現地スタッフの技術も大きく向上しており、ちょうど良いバランスとなって引き続き好調です。

大規模木造建築への取組みも活発ですね

松本

この分野も当初から積極的に取組んでおり、HP等を作って情報発信も行っています。これまでS造、RC造で建てられることの多かった建築物のうち、「3階程度の低層のものは木造で建てる」という選択肢が増えてきています。私たちも木造の保育園や高齢者福祉施設を数多設計してきましたが、最近は事務所や工場、倉庫へと拡大しているのです。非住宅建築物やS造、RC造などの工法の工事費が高騰するなか木造が注目され、環境に良いというイメージも浸透してきたのでしょう。一方で大規模木造建築物のノウハウが豊富な設計事務所は数が少ないため、私たちに声がかかるわけです。これも木造が得意なARCHITREND ZEROユーザーさんと協業していけば効果的だろうと考えています。

大規模木造の建築例

中国のCADセンターとの業務の流れは?

松本

基本的にはあちらへプランを投げて一次入力してもらい、一式上がってきたものを日本側でチェックし整理して確認申請に出す……という流れですが、現地スタッフは勤務歴10年以上の人が大半で、ARCHITREND ZEROの入力は日本人より速いし上手い。法チェック等も勉強しているので細かな斜線検討等もこなします。日本人のチェック担当を配置すれば、中国から確認申請を出すことも可能なレベルとなっています。

使いこなすと「元気」になるCADシステム

本社ビル2階の設計チームと松本氏

本当にARCHITREND ZEROをフル活用していますね

松本

他の設計事務所でも建設会社でも、ARCHITRENDZEROを使いこなしている所は元気が良いです。これは間違いありません。当社がいま構造設計から住宅や非住宅、大規模木造建築の設計、また性能表示や長期優良等まで幅広く大量の業務を行えているのも、ARCHITREND ZEROを使っているから。法改正等にも都度リアルタイムに追従してくれますから、それを幅広く活用することで他社差別化に繋げていけたと実感しています。

ユーザー歴は20年以上ですね

松本

そうですね。20数年前にCADを選定した時は、他にも様々な製品を比較検討しましたが、ARCHITREND ZEROを除き、いまはほとんどが名前さえ聞かなくなってしまいました。相変わらず、意匠設計から構造設計や性能表示、確認関係に積算等々まで含めてトータルに連動しているCADは他にないわけで……あらためて20数年前の選択は正しかったと思っています。

そんなARCHITREND ZEROへ期待することは?

松本

プレゼン機能では業界トップレベルの機能を実現しているARCHITREND ZEROですが、いまいちばん期待したいのは構造計算機能のさらなる充実です。実際、いま木造住宅業界が一番必要としているのは実は構造計算で、CADベンダー各社もこの機能の充実に取り組んでいます。中でも最も熱心で一番良い所まできているのがARCHITREND ZEROなんですよ。そして1万㎡に届くような大規模木造施設も入れられるとか、4階建てまで入れるようになってくれると嬉しいですね。

大規模木造の建築例

※役職などは2019年3月取材当時のものです。

松本 照夫代表取締役

松本設計ホールディングス株式会社

所在地
東京都国立市
代表者
代表取締役 松本照夫
設立
1991年9月
資本金
3,000万円
事業内容
建築意匠・構造設計業務(中大規模木造建築物、木造住宅、福祉施設、商業施設など)、建築設計コンサルタントほか

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