受注支援となる省エネ住宅とは!
「性能×コンセプトが施主に伝わる力」をテーマに
全国13会場を結び、A-Styleフォーラムを開催
2019年6月4日、ARCHITECT STYLE LAB「スタラボ」によるイベント「A-Styleフォーラム」が開催されました。パッシブデザイン設計の第一人者・木村真二氏/(株)PASSIVE DESIGN COME HOME 代表取締役と「7坪のZEH」でLIXIL MEMBERS CONTEST大賞を受賞した橋本雅志氏/(株)アース 代表取締役によるセミナー&パネルディスカッションに加え、メイン会場のグランフロント大阪から全国12箇所のサテライト会場へ同時配信。最新投票システムで各会場をリアルタイムに結んで全国の受講者がディスカッションに参加するなど、大きな盛り上がりとなりました。ここではイベント当日の本会場をレポートします。
本会場と全国12会場を結んだ参加型セミナー
時計の針が午後一時を回り、会場の100余席が埋まった頃、アナウンスの声が響きました。
「皆様ようこそ。ただいまよりA-Styleフォーラム・スペシャルセミナーを開催いたします!」湧き起こる拍手に応え一礼した司会者は、注意事項と運用システムについて説明していきます。今回、本会場の模様は全国12箇所のサテライト会場へWeb配信され、各地でリアルタイム視聴していただくと共に、パネルディスカッションにリアルタイム投票システム「スグキク」を導入。参加者の誰もがパネラーへスマホで質問でき、その質問自体への「いいね」もできる参加型イベントとなっているのです。説明が終わると、弊社社長の佐藤浩一が登壇しました。
まず全国の参加者への深い感謝を示した佐藤社長は、令和という新時代の建築業界のありかたから3次元化へ向けての福井コンピュータアーキテクトの決意を示し、セミナーの開会を高らかに宣言しました。そしていよいよ第1部セミナーが始まりました。
第1部 セミナー
「省エネ住宅の集客・営業・設計・プレゼンとは!」
「“はじめまして”の方はもちろん“いつもどうも”の方もいらっしゃいますね。PASSIVE DESIGN COME HOMEの木村です。今日はよろしくお願いします──」
リラックスした口調で語り始めたのは、株式会社PASSIVE DESIGNCOME HOMEの代表取締役、木村真二氏です。パッシブデザイン設計の第一人者として、全国130社以上の住宅会社にその設計手法を提供し、数多くのパッシブデザイン住宅を作ってきた木村氏だけに、会場には「教え子」の経営者や設計者も多数来場しています。
鳴り響く拍手を浴びて木村氏は軽快に語り始めます。激変する住宅市場で住宅会社が生き残るのに必要な要素はなにか。そして、その時求められる“これからの住宅会社”の経営とコンセプトメイク、そして商品展開とは?──そうして語り起された講演の核は、徹底して実践的なパッシブデザイン設計による家づくり手法。すぐにも応用可能な実践的ノウハウが惜しみなく開陳され、多くの受講者が盛んにメモを取ります。
「2020年は淘汰の時代です。それまで“見た目の良さ”だけで売れていた会社も、この1~2年で急に売れなくなるケースが頻発するでしょう。もはや“本物しか生き残れない”時代を生き残るには、最低限でも省エネに耐震性、デザインを高いレベルで実現していかなければなりません。」
第2部 セミナー
「ミッション経営 ~言葉が世界を創る~」
「こんにちは、株式会社アース代表の橋本です。私は会社経営に携わって17年になりますが、ふり返って気づくのは、常にまず言葉があり、その言葉の世界を創る中で山を乗り越えてきた、という実感です──」
そう話し始めた橋本氏は、独学で建築を学び設計会社・工務店を興し、国内最大規模の住宅コンテスト「LIXIL MEMBERS CONTEST」で度々入賞し、2018年には狭小ZEH住宅の設計で大賞を受賞した気鋭の経営者兼建築家です。講演は、そんな橋本氏がある施主のために作った動画の上映から始まりました。それは家づくりの流れを追いながら、ご家族の折々の表情を捉えた家づくりムービー。徹底してお客様に寄り添う同社の家づくり理念がダイレクトに伝わってくるものでした。次に橋本氏自身の波乱に富んだキャリアが紹介され参加者を圧倒。内装職人という出発から巨額の借金と共に継承した会社の倒産、自己破産。そこからの再起から9割超の驚異的成約率の実現。再びの赤字転落から高いデザイン性とZEH等の技術力で再起へ……。その時々に生み出した鮮烈な「言葉」と共に、たくましく進化していく姿が観客を深く魅了しました。
「初めて掲げた言葉“想いをカタチに”。会社の理念構築のため考えた“喜びを創る”。プロとして足元を見直した“一棟入魂”。……そしていま私たちは“東京の暮らしを変える”という言葉と共に再び新しい世界を創り始めました。」
第3部 パネルディスカッション
「ミライにあるべき暮らしのカタチ」
「では“スグキク”で両パネラーへの質問を選びます。まずは木村さんへの質問から!」パネルディスカッションは、2人の講師に会場からの質問に応えてもらうスタイルで始まりました。“スグキク”システムを使い、会場の支持が高い=最も参加者が聞きたい質問から応えてもらおうというわけです。集計の結果、参加者が選んだ質問は「コンクリートの蓄熱計算の仕方と使用ソフト」という専門的なものでしたが、木村氏は「簡単に使えるソフトも出ており、難しくありません。5分もあればできますよ。」と回答し使用中のソフト名まで紹介。さらに「蓄熱用のコンクリートを置く場所」や「外皮計算のポイント」「木造での天井断熱/屋根断熱の使い分け」など、省エネ住宅の技術的な問題に回答してくださいました。
「次に橋本さんへの質問ですが──先ほどの動画に関する質問が多いですね。」司会者の言葉通り、票が集まったのは「施主が家づくりムービーへの出演を嫌がったら?」という質問。まさに誰もが気になる課題でしたが、橋本氏は「そういう方はゼロです。出演を嫌がるような方は、そもそも当社においでにならないんですよ。」と笑顔で回答します。その他の質問としては「集客手法、SNSを用いた集客」や「ZEH住宅の営業手法」「CAD積算の活用状況」等々でしたが、木村氏はどの質問にもきわめて具体的・実践的に応えてくれました。続いて司会者から「デザインと性能」について質問が投げかけられました。住宅性能を向上させることでデザイン性が犠牲になるのでは?──という普遍的な課題でしたが、木村氏は「たしかにそういう問題はあるが、一つずつクリアしていけば良い話です。」と回答。橋本氏も「7坪のZEHもそうでしたが、デザインを崩さず性能を担保することに、特に苦労したことはありません。むしろそれが面白いんですよ。」と答えます。この他では「住宅業界で高性能の標準化が進まない原因」等々の課題についても、両パネラーはどこまでも率直に回答。会場は熱く盛り上がり、参加者の多くがメモを取り続けていました。
──こうして濃密な時間はたちまち過ぎ、時計の針が17時を回る頃、司会者は閉会を宣言しました。「時代は変化し住まいのあり方も変わっていきます。建築家も工務店も、そんな時代の流れに応えながら“いま提供できる最高のもの”を用意していくしかありません。耐震3もZEHもパッシブデザインも当り前のものとして標準化し、その上でさらなる高性能を付加価値として提供していく。皆様にそんな選択肢を用意いただくお手伝いを、私たちもしていきたいと考えています。本日は本当にありがとうございました。次のA-Styleフォーラムは9月を予定しています。どうぞお楽しみに!」
A-Styleフォーラムで全国13会場をネットワーク!
「A-Styleフォーラム」Vol.1当日の模様は、大阪をメイン会場に全国13会場を結んでWeb配信され、全国で300名余ものお客様にご参加いただきました。
※役職などは2019年6月取材当時のものです。