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株式会社木又工務店

木にこだわり、建て方にこだわる昔気質の大工が
手描きとARCHITREND ZEROを駆使しながら
百年先を見通して建てる、もう一つの長期優良住宅

大阪府四條畷市の木又工務店は、一級建築大工技能士の棟梁 木又誠次氏が率いる大工6名による工務店です。「四條畷大工衆」と呼ばれる同社の大工は全員が社員大工で、しかも3名は棟梁がみずから育てた弟子たち。伝来の技法を受け継いだ高度な技術に加え、棟梁みずから岐阜や奈良に足を運んで買い付けた国産材で建てる木造住宅の質の高さには定評があります。設計ではドラフターを用いて手書きしている木又氏ですが、同時に「だからこそARCHITREND ZEROが欠かせない」と言います。昔気質の技と最新技術を巧みに融合した同社の家づくりについて、木又棟梁に伺います。

木を見ながら作る、というスタンス

昔ながらの大工工務店ですね

木又

それがウチの特徴であり強みです。私を含め大工は6名、他はCADオペレーターと経理が一人ずつで、営業マンも現場監督もいません。しかも、大工は全員が社員大工で気心が知れ、現場では細部まで指示を出さなくても安心して任せられます。若い子も3名いますが、彼らは私がゼロから育てた直弟子。いわば「木又イズム」の継承者なのです。社員の大半が大工という実動部隊なのでコストを抑えられるし、そのぶん材料などもより質の高いものを使うことができるわけで。これが当社のもう一つの強みでしょう。

材木の在庫もすごいと聞きました

木又

岐阜とか奈良へ自分が直接買い付けに行き、選びぬいて原木で買っています。ちょっと山へ上がった所にあるウチの作業場に、150坪ほどの木材置場を作ってストックしてあります。これを製材して1~2年から長ければ3~4年も天然乾燥させた上で加工し、現場に出すようにしています。直接買い付けるので安く提供できるし、樹種も豊富で……50種くらいあるかな。近辺の材木屋さんより、良質な材木がたくさんあると自負しています。

国産材メインなんですね

木又

構造材は国産材……ほとんど奈良の県産材です。柱と土台は奈良県産の4寸角ヒノキを、梁は奈良県産スギを使うのが基本。また、造作材は自分で吟味して仕入れたものを使います。外材も良材であれば使いますが、国産材より高価になることが多いですね。昨今は家づくりもプレカットが主流ですが、ウチはいまだに墨付けし手刻みするやり方。プレカットをまったく使わないわけではありませんが、その場合も、木拾いから木取りまで全部こちらで行います。化粧材になる時や見せる構造材はもちろん、でき上がったら見えなくなる構造材も、やはり木取りして進めることが多くて……文字通り「木を見ながら」作っています。

ARCHITREND ZEROによる作業

伏図も手描きで?

木又

そこでARCHITREND ZEROが活躍します。まず私が1/50の伏図をバーっと手描きして、それをCADオペレーターに渡して、ARCHITREND ZEROで製図してもらいます。それを使って墨付けなどを行うわけです。

「木又君に一番合っている」CADソフト

ARCHITREND ZEROを導入したきっかけは?

木又

私はCADが苦手で、当初、図面は手描きしていました。……今も細かい詳細図等はドラフターを使って書きますが……とにかく自分で仕事を受けるようになると、やはりきちんと図面を描き、パースも作ってプレゼンしなければなりません。Jw_cadくらい使えないとまずいな、と思い、設計者の友人に質問すると「大工しながら覚えるのは大変だ」とか言われてしまって。困っていた時に知ったのがARCHITREND ZEROです。パパっと平面入れればバーンと立体が立ち上がって……これなら大工仕事をしながら覚えられそうだと感じたのです。

プラン提案

ARCHITREND ZEROが初めての3Dソフト?

木又

実はその前に他社の安価なプレゼンソフトを使っていました。でも、それで作るとパースも安っぽく、機能的に物足りなくてARCHITRENDが気になり出したのです。で、ARCHITRENDユーザーの設計士に相談してみたら「木又君に一番合っている」と言われたのです。時間の無い人が取組むソフトとして機能性に優れ、使い勝手も良いから「ぜひやった方が良い」「分らなければオレが教えてやる」とまで……教えてくれる人がいれば安心だし、その人が作ったパースもとても素晴らしかったので2015年に導入しました。

パース制作が主目的だったのですね

木又

最初はそうです。ウチの場合、建ててしまえばお客様にその良さを分ってもらえる自信があります。しかし、契約いただくには建てる前にその良さを伝える必要があるわけで。実績が少なく施工事例もない頃は、お客様にお見せできるものがなく、といって図面で設計意図を伝えるのも素人さん相手では難しくて……。やはり、プラン段階でいかにお客様のテンションを上げていけるかが受注を左右するので、目で見て分るパースを簡単に美しく作れるARCHITREND ZEROが必要だと考えました。

基礎伏図

実際の運用はどのような流れで?

木又

現状では契約前のご提案や打合せでの活用がメインです。簡単なパースは自分でも作りますが、私が手描きしたものを元にCADオペレーターに仕上げてもらい、お客様と打合せを重ねて契約までもっていきます。あとは基礎伏図などもARCHITREND ZEROで描きます。お客様に見せるパースや職人との打合せで使う図面など、ARCHITREND ZEROで描くことでビジュアルの表現面はかなり充実しました。職人用の詳細図等も種類が多く意図を伝えやすいので、打合せはもちろん工事の効率化にも繋がっている実感がありますね。一方、詳細図や確認申請は現状ではCADオペレーターがJw_cadで描いています。

大工復権へのカギ

長期優良住宅や耐震性、ZEH等への対応は?

木又

耐震性に関しては耐震等級3相当ですが、現状では耐力壁と壁量計算、N値計算だけでやっています。また、BELSの5つ星認定を取るために外皮計算を外注したことがあり、その時の仕様をずっと使っています。長期優良住宅とZEHについてはまだやっていません。太陽光の利用は良いと思いますが、パネルの寿命や廃棄物に含まれる有害物質の処理など納得しきれない部分があり、様子を見ています。

慎重にお考えなのですね

木又

当然です。私たちは100年も先を本気で見すえて建てていますから。そこまで見すえて、その新しい技術が本当に施主にとって良いことなのか?考え抜く責任があります。長期優良住宅についても、私たち地元の大工が建てる家は死ぬまで面倒を見るのが当然で、つまりもともと長期優良住宅なのです。地元だからいい加減な仕事はできないし、何かあればすぐ駆けつけます。だから町場の大工がずっと長くやっていけることが、長期優良住宅に繋がって行くのです。

ARCHITREND ZEROに期待することは?

木又

たとえば耐震性に関して「熟練大工が建てた強い家なんだ!」と頑張っても、壁量計算だけでは耐震等級は「3相当」としか見なされません。実際、大工工務店の一般的な評価は高いとは言えず、それは設計力の低さに原因があります。施工技術は高いがコテコテの家しか建てられない大工より、見栄えの良い、証明書付きの家を設計する建築家へお客様は流れるのです。その意味で、私はARCHITREND ZEROには大工へのさらなるバックアップを期待しています。より簡単に、手軽に、使いやすくなって、大工が現場仕事のかたわら使えれば、ARCHITREND ZEROはきっと大工復権のカギにもなるでしょう。

施工例(内観)

※役職等は取材時(2019年3月)のものです。

株式会社木又工務店

所在地
大阪府四條畷市
代表者
代表取締役 木又誠次
創業
1975年4月
従業員数
8名
事業内容
新築元請負工事・増改築工事・リフォーム・店舗改装・社寺建築・古建築・文化財・古民家再生・住宅の設計

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