新建ハウジングとのコラボ企画
〈A-Styleフォーラム2020 Vol.5〉
「家づくりの新常態のカタチ」
2020年9月15日、弊社では、〈A-Styleフォーラム 2020 Vol.5〉を開催しました。コロナ禍のもと、私たちの暮らし方は大きく変わり、家づくりもまた変化しつつあります。今回は新建ハウジングとのコラボ企画で、変化の時代に応える「家づくりの新常態のカタチ」をテーマに盛り沢山の内容でお贈りしました。
ご登壇いただいたのは、現代を代表する建築家の一人である伊礼智氏、ITスペシャリストとしてテレビ・ラジオ、YouTubeで活躍中の戸田覚氏。さらに新建新聞社社長の三浦祐成氏と弊社社長の佐藤浩一によるトークセッションまで、前回同様オンラインセミナー形式で開催しました。
まずは新製品のご案内から
「みなさん、こんにちは!ただいまよりA-Styleフォーラム2020 “家づくりの新常態のカタチ”を始めさせていただきます」。オープニング音楽が響き、開会を宣言した司会の市原が、テーマと内容を要領よく紹介すると、告知を担当する山本にマイクを渡しました。
「セミナーの前に少しだけARCHITREND ZERO Ver.7.1をご紹介させてください。この9月10日発売されたばかりの新製品です」。山本が特に注目した新機能は2つ。iPad専用間取り作成アプリ「まどりっち」で作成した間取りデータのCAD連携と高性能レンダラー「V-Ray」によりフォトリアルCG制作を可能にする新オプション「ARCHITREND V-style」です。特に後者は実機デモも行われ、HDRならではの鮮やかな光の効果などについて詳しくご紹介しました。
「では、セミナーに入らせていただきます。まずは建築家 伊礼智様のセミナーとなります。なお、本日は残念ながら伊礼先生と予定が合いませんでしたので、事前にビデオ収録させていただきました。それでは伊礼先生、よろしくお願いいたします!」
セミナー【1】「性能と意匠の狭間で/これからの設計業務とIT・iPad活用の可能性」
「どうもこんにちは、伊礼です。今日は会場へは行けませんので、リモートでお話しさせていただきます。最近の仕事での取り組みをご覧いただきたいと思います」。穏やかな口調で語り始めたのは建築家 伊礼智氏──心地よさと高度な意匠性を兼ね備えた住宅設計で広く知られる、現代を代表する建築家のお一人です。
タイトル通り「いまは性能と意匠の狭間でもがいているところ」と語る伊礼氏の講演は、「くらしこのいえ+くらしこのハナレ」「豪雪地帯のパッシブデザイン」「つくば里山住宅博」という3件の事例をピックアップ。文字通り「性能と意匠の狭間」で展開している、同氏の新たな建築へのチャレンジが、多くの図面や竣工写真を駆使しながらきめ細かく具体的に解説されていきます。
カスタマイズした断熱パネルやエコテクノルーフ、OMX等々の最新技術や素材の積極的な活用と共に、家の隅々までこだわり抜いた意匠面の工夫も次々開陳され、抑えた語り口にもかかわらず、新たな家づくりへの示唆がぎっしり凝縮されたスリリングな30分となりました。
さらにメイン講演終了後、突然、プログラムにもなかった予想外のプレゼントが贈られました。それは「伊礼さんがまどりっちを使ってみた」と題する特別編ムービーレポ。弊社社長の佐藤浩一が、伊礼氏にみずから“まどりっち”の使い方を伝授しようというのです。ところが、伊礼氏は初体験の“まどりっち”に驚きながらも数分でこれを使いこなし、鮮やかなペンさばきであっという間にカラーリングを施した間取りプランを完成。視聴者はまたしても大いに驚かされることになりました。
「いつもはぐしゃぐしゃのフリーハンドで担当に渡してCADに起こしてもらうんですが、“まどりっち”ならある程度のところまで描いたフリーハンドでもピシッと起きてくる。これなら僕だけでプレゼンできるし、すごく助かりますね。本当に楽しかったです」
セミナー【2】異業種から見た“まどりっち”の可能性
「はい、こんにちは、戸田覚です!」。元気いっぱい歯切れのよい口調でマシンガンのように語り始めた2人目の講師は、ITツールのスペシャリストとして、テレビやラジオ、YouTube等でもおなじみのビジネス書作家 戸田覚氏です。
実は戸田氏自身は「建築は全く知らない素人」とのことですが、だからこそ今日は、消費者の立場に立って、「まどりっち」を中心とするiPadアプリ等のデジタルツール活用法とその導入効果を紹介してくださいました。戸田氏の手元にはiPadがセットされ、その画面をアップで捉えた専用カメラも用意されています。進行と共にこの専用カメラが大活躍し、戸田氏が操るiPadアプリの動作をアップで映し出します。
「今回、僕が“まどりっち”に注目したのは、福井コンピュータに言われたからではありません。実は自分で見つけて“これは凄い!”と思ったから。YouTubeで僕が連載しているアプリ紹介番組でも紹介済みで、すでに1万回以上も再生されています」。では、“まどりっち”の何が、ITツールのプロである戸田氏を驚かせたのでしょうか。それは“まどりっち”の圧倒的な分りやすさでした。「“まどりっち”を習熟するには5~10分あれば充分。誰でもすぐ使え目的達成できます。他のグラフィックソフトでも間取りは描けるでしょうが、時間はむちゃくちゃ掛かる。他ソフトは“見合わない”のです」。
そういって、戸田氏は視聴者に大胆な提案を行います。施主の条件に合わせた「建てられる家の枠」を“まどりっち”で描いて、そのiPadごとその施主に貸し出してはどうか?と言うのです。実際、間取りを描きたい施主は多く、実際に描けば家づくりで出来ること・出来ないことが容易に理解できるから、作り手への理解も進んで商談機会は拡大するはずだ、と。まさに消費者目線にこだわった戸田氏ならではの大胆な提案でした。その後も多彩なアプリが次々紹介され、視聴者の誰もが大いに楽しんだことでしょう。
トークセッション 住宅業界・家づくりのニューノーマルを考える
「最後のセッションとなりました。株式会社新建新聞社 代表取締役社長 新建ハウジング発行人 三浦祐成様と福井コンピュータアーキテクト株式会社 代表取締役社長 佐藤浩一によるトークセッションを行いたいと思います!」。いよいよ本日のクライマックスとなる住宅ITと業界メディアの経営トップ同士の対談が始まりました。
市原の「コロナ禍で変わる暮らしと共に、家づくりはどう変わっていくか?」という問いに、まず口火を切ったのは三浦社長でした。
「外でやっていったことをどんどん中でやるようになったことで、家の中をもっと使いやすく居心地良くした方がいいよね──と、多くの方が思い始めています。だとしたら、これは住宅業界にとってチャンスかな、とも思えます」。対して佐藤はこう答えます。
「実際、お客様から“施主様の傾向が変わった”と聞く機会が増えました。戸建て志向が高くなり、駅近より郊外や他都道県の地域型住宅へのニーズが拡大しているとか。コロナ禍により住宅一次取得者層の考えが変わりつつあり、業界にプラスの影響をもたらす可能性も大いにあるかもしれません」。ピンチをチャンスに、という議論は、やがて一極集中から地方への分散、さらに地方創生へと向かう議論の中で、チャンスをどう捉えるのか。そして、そこでメディアとITに出来ることは何なのか……と深まっていき、予定時間ギリギリまで熱いやりとりが続きました。最後に佐藤はこう語りました。
「コロナ禍前の当社のセミナーでは、どうしても実務的な繋がり主体のイベントになりがちでした。しかし、今日は三浦社長はじめ、戸田社長や伊礼さんなど、異業種を含めたクロスオ-バー的な広がりが生まれ、これもコロナ禍がもたらしたプラスの変化の一つかな、と思っています。また是非、こういった機会を設けさせていただき、私からも色々発信していきたいと思います。引き続きどうかぞよろしくお願いします、本日は本当にありがとうございました!」