G-Style Forum VOL.5 開催!「GLOOBEで変わる!確認申請と現場施工」

いよいよ2026年春からBIM図面審査がスタートします。今回5回目となるG-Style ForumのテーマはまさにそのBIM図面審査を見据えた「確認申請」と施工BIMの普及により注目の集まる「現場施工」ということで、たくさんのお申込みをいただきました。また後半にはクリエイティブコンテストのオンライン表彰式も開催されました。
当日配信された3つのセミナーおよびクリエイティブコンテストのオンライン表彰式の模様をレポートします。
【セミナー(1)】知らないと損するBIM確認申請の最新情報と今後の使いこなし方
日本ERI株式会社 関戸 有里氏
まずは日本ERI株式会社の関戸有里氏に建築行政手続きのDX、建築確認におけるBIM活用の検討状況についてお話しいただきました。
● 建築行政手続きのDX
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律の全面施行に伴い建築行政手続きのDXが推進されています。オンライン申請とBIMの活用、オンライン検査も一部運用が可能になっています。また現在、国交省の支援により「電子申請受付システム」が開発され、2025年4月から運用開始予定。将来的にはBIMの建築確認も電子申請受付システムと連携する形で環境が整備される予定です。
● 建築確認におけるBIM活用の状況
BIMの特徴を生かし、建築確認では申請図書の整合性、法規制の見える化につながるとして国交省は建築BIM推進会議を立ち上げ業界全体でBIMを推進しています。BIMによる建築確認の環境整備予定としては、2023年頃から前述の電子申請受付システムの整備、2026年度からBIM図面審査開始、2029年度以降のBIMデータ審査試行を最終ゴールとしています。
BIM図面審査は従来通りPDFの図面を扱います。BIMデータから出されたIFCデータは審査の参考として確認申請用CDE(共通データ環境)上で閲覧が可能。BIM図面審査のメリットは建物の形状の伝達・把握がスムーズであることや、整合性の高い図書を効率的に作成できることが挙げられます。また、図書間の整合性が担保されていることで一部の審査が省略可能となり、審査時間の短縮も見込まれます。さらにはCDEというクラウドベースの枠組も用意し、どこからでも申請・審査が可能になります。
一方、最終目標のBIMデータ審査は、IFCデータを審査対象に含めることが大きく異なる点です。確認申請用CDEでIFCデータを閲覧しながら審査補助機能を用いて機械的に算出された結果を活用することで効率的に審査できます。現在、建築確認におけるBIM図面審査ガイドライン、申請書審査用マニュアル、実施ツール(入出力基準など)等の環境を整備中です。
なお日本ERI株式会社では2021年にGLOOBEと確認申請の情報連携を開始。GLOOBE Architectから作成されるデータから確認申請書に関わるものを抽出しERIの確認申請書作成ツールに取り込むことで確認申請書を作成する仕組みです。福井コンピュータアーキテクトでは建築基準法を内包しているソフトで申請書を効率的に作成でき、整合性が保たれた図面が作成可能になりますので、是非そのGLOOBEの機能を用いながらBIM図面審査へ備えて頂ければと思います。
「知らないと損するBIM確認申請の最新情報と今後の使いこなし方」 (セミナー資料より)
【セミナー(2)】次世代の建設業を支える施工BIMのカタチ
東急建設株式会社 野尻 隆久氏
次にご登壇いただいたのは、東急建設株式会社の野尻隆久氏です。同社における施工BIMへの取り組みをお話しいただきました。
● 部署設立から昨年度までの取り組み
2013年(導入初期)建築BIMの専門部署を設置し、BIMの活動を開始。BIMの機能、活用の可能性を検証する中、渋谷の再開発や大型物流倉庫などの大型案件で一部BIM化に取り組む。BIMに対しては設計図書や施工図の不整合減少、設計意図や施工方法の理解度向上などに期待する声が多く、利益向上や工事の省力化、生産性向上への期待はそれほどでもなかった。
2017年~19年(過渡期)BIM推進グループからBIM推進部へ昇格。BIMのモデルをほぼ全現場を対象に配布し、さらにモデル作成効率化のためのアドオンツール開発。現場向けの教育や会社全体でのBIM研修を開始する。一方、BIMの認知はなかなか進まず、施工現場からは費用対効果への疑問、ソフトの使い方が難しい、BIMの動作環境への不満などの声が上がる。
2020年~23年(成長期)業務の効率化を進める取り組みを本格的に開始。積算連携のシステム開発、維持管理会社と連携しBIMを起点にした業務改善を行う。現場でのBIM活用への期待度は非常に高まるものの、一部の使用にとどまる。複雑で使用が難しいBIMソフトに一因があるとして、2023年下期から、操作が簡単で直感的に動かせるソフトGLOOBE Constructionの検証を始める。
当社の施工BIMにおいて最大の課題は現場におけるBIM活用が進まないこと。操作が複雑で現場技術員が操作できないこと、作業環境(PCスペック)の不備、そして活用の方法がわからないことが理由だと思われる。
● 2024年度の取り組み
期初に掲げた目標は、1つ目、業務分担によってBIM活用の促進を図ること。2つ目、現場技術員が気軽に取り組めるということ。
まずは業務の分担について、BIM活用の項目を12に絞り1~6が現場で行うもの、7・8が外注業者で行うもの、9~12が専門部署(当部署)で行うものと割り振る。これをレシピ12と呼び、当社の施工BIM支援の標準メニューとしている。
続いてBIM浸透強化について、現場でBIM活用を幅広く現場の技術員の方に知ってもらうことを目的に活用の促進につながるような動画を社内向けに配信している。
● 今後の展望と福井コンピュータアーキテクトに期待すること
今後の展望は、現在の取り組みを加速させていくことはもとより、協力業者との連携、デジタルファブリケーションの強化を図っていくこと。労働人口の減少、廃棄物の発生抑制、これらの課題解決に寄与することが目標。
最後に福井コンピュータアーキテクトに期待することとして、「Revitそれから専門ソフトなどとの連携強化」データ連携が図れる仕組みを構築していただきたい。施工図作成時間はかなり膨大になるので、「AI化して効率化すること」を目指してほしい。
「次世代の建設業を支える施工BIM のカタチ」(セミナー資料より)
【セミナー(3)】BIM確認申請に間に合う!GLOOBE活用術
福井コンピュータアーキテクト株式会社 BIM商品開発室 飯島 勇(左)と前田 和也(右)
弊社BIM商品開発室の飯島と前田より、先輩後輩の会話風やりとりでわかりやすくGLOOBEの使い方を説明する実演が行われました。
地方都市にあるFCA建設の設計部。若手の設計担当前田さんがリーダー飯島さんに相談があるようです。
「BIM図面審査に向けてモデルを作れるようになりたいんですけど、どうすればいいんでしょうか…。」
「それならGLOOBE使えばいいんじゃない?」そう答えた飯島さんは、実際にその場でGLOOBEを操作しながら、後輩の前田さんに次々と機能を説明していきました。
実際に2人が会話しているような流れの中でGLOOBEの操作方法を疑似体験
【クリエイティブコンテスト結果発表】
最後に、2024年11月~2025年1月に弊社で開催した「クリエイティブコンテスト2025」の結果発表と表彰式が行われました。GLOOBEで作成した総数52点に及ぶ応募作品の中から厳正なる審査の結果、全12の受賞作品が決定し、クリエイティブ大賞に輝いた冨谷亮介様と冨谷美朝子様からビデオメッセージをいただきました。
「BIMでは四角い建物しか作れないという声をよく聞きます。そんなことはなくて、曲線も作れるということを伝えたくて今回のコンテストに応募しました。作品のテーマは“曲線が活きる建築”です。波の揺らぎをイメージし水族館をテーマに選びました。GLOOBEでの作業風景も動画に盛り込みました。」
クリエイティブ大賞に輝いた冨谷亮介様、冨谷美朝子様の動画作品 「海辺の水族館」
GLOOBEでの作業風景も動画に盛り込まれています
どの作品もGLOOBEを最大限に活かし作りこまれた素晴らしい作品となっています。
受賞作品、全応募作品はクリエイティブコンテストサイトでご覧いただけます。
https://ccon.fukuicompu.co.jp/
福井コンピュータアーキテクトはこれからも皆さまのクリエイティブな活動を応援していきます。
※所属、役職等はイベント開催時のものです。