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G-Styleフォーラム Vol.6(2025年7月11日)

G-Style Forum VOL.6 開催!「GLOOBEで踏み出すはじめの一歩」

いよいよ2026年春からBIM図面審査がスタートします。新たなBIMの局面に入ったと言っても過言ではない状況を迎えており、今回のセミナーにも過去最高の視聴お申し込みをいただきました。
当日配信された3つのセミナーと2025年7月23日にニューリリースした「GLOOBE2025」レビューの概要をお届けします。

【セミナー(1)】建築BIMの最新動向 ~国土交通省の取組とその先

国土交通省 住宅局 建築指遵課 野口 雄史氏

国土交通省 住宅局 建築指遵課 野口 雄史氏

まずは国土交通省住宅局建築指導課の野口雄史氏に「建築BIMの最新動向~国土交通省の取組とその先」と題してお話しいただきました。

● 取組の背景

日本の人口は2008年をピークに減少し、特に建築業界では人手不足が顕在化しています。建築の生産性の向上を図る上で有力なツール、BIMへの取組みを政府としても進めている状況です。

● 取組の全体像

BIMの活用に向けては、高品質・高精度な建築生産・維持管理の実現、高効率なライフサイクルの実現、その先には作成したBIMデータをさらに多方面で活用するといったビジョンを作成し、取組みを進めています。令和元年にはBIM推進会議を立ち上げ、具体的な工程表を作るなど議論を進めてきました。

● BIMによる建築確認

来年(2026年)4月にBIMを使った建築確認(BIM図面審査)を開始。その3年後の目標として2029年春からはBIMデータ審査を開始する予定で取り組んでいます。

現時点で想定されるBIM図面審査のメリットは、申請者にとっては整合性の高い申請図書が容易に作成できること、WEB上で申請や対応ができ効率化ができることなど。審査者にとっては審査作業の効率化、確認申請用CDEを使用することにより複数人での平行作業、遠隔拠点やテレワークでの作業もできることなどが挙げられます。

申請・審査の流れですが、まずは入出力基準に従ったBIMデータを作成します。そして基準に従って作成した旨の申告書を作成、それを通常の建築確認と同様に提出頂いて申請・審査。確認申請用CDEというBIM図面審査用の申請・審査環境を利用しながら申請・審査をします。入出力基準は、意匠・構造・設備の各分野ごとに規定されています。構造・設備の分野については、意匠図との整合性に関する事項も規定されています。申請・審査の手順としてはBIMデータ作成とあわせてIFCデータを提出する必要があります。BIMから出力された図書、申告書、IFCデータを確認申請用CDEにアップロードして審査を行う仕組みになります。

現在、建築行政情報センター(ICBA)にて確認申請用CDE提供の準備を進めています。申請書情報閲覧機能や申請図書アップロード機能のほかにPDFデータの差分チェック機能やマークアップ機能、コミュニケーション機能といった機能も予定されています。

現在実際にBIM図面審査が正常にワークするかの試行も行っており、その結果に基づいてガイドラインやマニュアルの更新を行い、秋ごろには事前公表版を公表予定です。その後確認申請用CDEを使ったワークフロー検証も踏まえつつ、年明けには初版を公表予定です。

● BIM導入の支援

政府は建築GX・DX推進事業を創設し、BIM導入支援を行っています。現在も引き続き募集していますので、ぜひご応募ください。

「建築BIMの最新動向について」(セミナー資料より)

「建築BIMの最新動向について」(セミナー資料より)

【セミナー(2)】地方の個人事務所におけるBIM活用

マサキ1級建築士事務所 正木孝英氏

マサキ1級建築士事務所 正木孝英氏

次にご登壇いただいたのはマサキ1級建築士事務所の正木孝英氏です。「地方の個人事務所におけるBIM活用」と題しお話しいただきました。

● なぜBIM?なぜGLOOBE?

BIMなら建築に詳しくない方にも立体で建物を見せることができる、イメージの共有もスムーズにできる、さらに図面相互問の整合が自動的に取れることが魅力で導入を検討しました。その中でもGLOOBEを選んだ理由は、Jw_cadとの互換性が非常に高かったこと、GLOOBEにはオプションで法規チェックが用意されていてGLOOBE1本で全て賄えることが決め手でした。省力化が図れて我々のような小規模事務所にとっては大きなメリットだと考えています。

● 図面作成

GLOOBEには2次元作図用のコマンドが2つあり、私は「GLOOBEシート」を使っています。2枚のモニターを並べ、片方はモデル、片方はGLOOBEシートを映して作業を行っています。
また我々のような個人事務所においては、他の事務所との協業コラボレーションは必要不可欠。GLOOBEにはチームシステムという機能はあるのですが、サーバーの設置が必要ですぐには利用できません。OneDriveやDropboxでデータを共有して作業をするのですが、クラウド上ではBIMデータを加筆修正することができないため、この度事務所にサーバーを設置しました。ただし設置するのは技術的にも費用的にも少しハードルが高い気がします。

● 改善してほしいところ

(1)CDE環境の提供がない(共同作業ができない)
(2)アカデミックパックがない(学生が在学中にGLOOBEを身に付けることができればウィンウィン)
(3)マニュアル本がない(11月に発売予定)
(4)GLOOBEの認知度が低い

● 今後について

社内サーバー設置により、ようやくチームシステムが稼慟できることに。協業コラボレーションをどんどんやっていきたいと思います。またGLOOBE 2025から省エネ計算も連動できるようなので活用していきたいです。BIM図面審査への対応も進めていきたいと思っています。

「地方の個人事務所におけるBlM活用」(セミナー資料より)

「地方の個人事務所におけるBlM活用」(セミナー資料より)

【セミナー(3)】建設ディレククーがゼロから始める施工BIM

株式会社廣瀬 本間信吾氏(右)、吉野桃佳氏(左)

株式会社廣瀬 本間信吾氏(右)、吉野桃佳氏(左)

次は、株式会社廣瀬の本間信吾氏、吉野桃佳氏に「建設ディレクターがゼロから始めるBIM活用」と題してお話しいただきました。

● 施工BIMに挑戦

(吉野氏)私は2021年に新卒入社し、現場支援の部署に配属され、2021年の9月に建設ディレクターの資格を取得。建設ディレクターとはITとコミュニケーションで現場とオフィスをつなぐ役割で、現場技術者の負担を軽減し作業の効率化、就労時間の短縮を図り建設業界の慟き方改革やデジタル化の推進に対応するために導入され始めている職域です。
そして2023年の4月から現場支援業務の一環として施工BIMに取り組み始めました。何も知らない状態だったためまずはBIMについて調べることから始まりました。BIMソフトウェア特有の操作に関する課題、建築の基礎知識に関する課題、施工プロセスヘの理解に関する課題など、様々な課題に直面しました。その克服には自己の研鑽はもちろん、現場を見たり積極的に質問したり、また現場スタッフが変革を快く受け入れ協力してくれたことも大きかったです。

● 事例紹介

(1)RC造15階建てマンションをモデリング。BIMモデルを使用しコンクリートの数量計算を行う。
(2)S造平屋建て店舗をモテリング。干渉チェック精度が向上し、現場職員の作業時間が短縮。
など合わせて5例を紹介。

● GLOOBEを使用して良かった点・要望・まとめ

一番印象的だったのは操作性の良さです。建築未経験の職員でも扱いやすいインターフェイスが用意されているところが魅力。さらにJw_cad形式への出力機能により既存の業務フローとの連携もスムーズで非常に助かっています。
一方、こういう機能があると良いと感じた点は2つ。1つ目は配筋検討機能の実装。2つ目はPDFデー夕からの自動部材リスト登録機能です。よろしくお願いします。

最後に、弊社では施工BIMに取組み、現場技術者の時間や人員を奪うことなく運用できるようになったことは大きな成果と考えています。今後もメンバーの増員・レベルアップを目標に努力していきたいと考えています。

「建設ディレククーがゼロから始める施工BIM」(セミナー資料より)

「建設ディレククーがゼロから始める施工BIM」(セミナー資料より)

【製品レビュー】BIM図面審査への対応と現場のデジタル化を実現!

福井コンピュータアーキテクト株式会社 BIM商品開発室 前田 和也

福井コンピュータアーキテクト株式会社 BIM商品開発室 前田 和也

最後に弊社BIM商品開発室の前田より「GLOOBE 2025」のレビューを行いました。

● GLOOBE Architectの新規機能項目

(1)BIM図面審査に備えた図面作成のためのテンプレートを刷新し、Webで公開中。
(2)省エネ計算シミュレーションを搭載。ボタン1つで計算結果を取得し、Excelフォーマットヘの個別入力は不要に。
(3)3D都市モデルのPLATEAU(プラトー)連携に対応。(GLOOBE ArchitectとConstruction共通)

● GLOOBE Constructionの新規機能項目

(1)施工詳細(仕上げ下地・建具・その他意匠部材を入力でき施工BIMモデルとして作成可能)
(2)天井割付(天井仕上の割付や天井インサート位置を検討でき、数量・図面・工程を成果物として作成可能)
(3)黒板作成アシスト機能(Photoructionでは躯体リストの情報を電子小黒板にダイレクトに登録可能。それ以外のアプリも連携可能)

GLOOBE 2025 Construction 天井割付画面(製品レビューより)

GLOOBE 2025 Construction 天井割付画面(製品レビューより)