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A-Styleフォーラム Vol.15(2025年10月17日)

A-Style Forum VOL.15開催!「超・確認申請セミナー」

A-Styleフォーラム Vol.15

2026年春からスタートするBIM図面審査。今回のA-Style Forumは「超・確認申請セミナー」と題し、最新の審査動向やBIM対応、リノベーション申請の実務ポイントを徹底解説。当日配信された3つのセミナーと、10月15日に発売したARCHITREND ZERO Ver.12のバージョンアップの内容をお届けします。

【セミナー(1)】住宅にも来る!「BIM確認申請」本格始動前に知っておくべき超入門セミナー

国立研究開発法人 建築研究所 武藤 正樹氏

国立研究開発法人 建築研究所 武藤 正樹氏

まずは建築研究所の武藤正樹氏に「BIM」や「BIM確認申請」について、建築確認審査機関の視点から分かりやすくお話しいただきました。

●BIMとは?

Building Information Modelingの略語。3次元建物モデルを一種の建物データベースとして、設計から施工、維持管理に至るプロジェクトのライフサイクルを通して活用する建築手法。3次元の形状情報に加え、建築物の属性情報を併せ持ち建築のプロセスの各段階において活用できるのがBIMとなります。

●BIM建築確認の概要

建築BIM推進会議「将来像と工程表(増補版)」によると、建築確認のオンライン化(電子申請)は今年度末までに普及段階にあること。そのうえで確認申請用CDEを作って2026年春にはBIM図面審査スタートというロードマップが示されています。このBIM図面審査開始が重要な中間地点になっていて、将来的にはそこからBIMデータ審査を2028年度以降にスタートさせると、この資料ではうたっています。
BIM図面審査とは、BIMのソフトを使ってBIMのデータを作る、そこから出力したIFCデータ(3次元モデルのデータ)とPDF図面の両方を提出することで、図書間の整合チェックが不要になり審査が短縮・省略化できるというシステムです。さらにそのIFCデータそのものを審査に活用していこうとするのがBIMデータ審査です。審査の補助機能などを使えば審査の効率は格段に良くなり、デジタル化の恩恵を最大限に受けることができます。
メリットとして、申請者にとってはクオリティの高い申請図書の作成が簡単にできること、窓口に行かなくても申請の手続きや指摘事項の対応がCDE内でできること、ひいては審査期間の短縮に繋がることなどが挙げられます。審査側もクオリティの高い図書での審査になるので、整合性確認の作業が減り、テレワークでの作業が可能になるなどのメリットがあります。ガイドライン・マニュアル等は建築BIM推進会議ポータルの「成果物等」というタグからダウンロードできます。

●BIM図面審査の枠組み

前出、建築BIM推進会議ポータル内ではBIM図面審査ガイドラインも提供されています。入出力基準や申告書などの実施ツールも含まれ、申請審査者用マニュアルも提供されています。入出力基準はBIMデータの作成に関し、情報を入出力する方法を定めたもの。申請者は入出力基準適合申告書を作成・提出し、基準に従って入出力していることを証明します。

●BIMデータ審査の展開

BIMデータ審査の実施に向けては法規制ごとに必要なBIMのカテゴリを整理した上で必要なものを定義していくなど段階的に進める予定です。その他にも法制度関係、BIMデータを見ることができる審査環境・データの保存環境などまだまだ検討することがあります。ひとつずつ課題を克服しながらデータ審査に向けて進んでいけたらと思います。

「住宅にも来る!『BIM確認申請』本格始動前に知っておくべき超入門セミナー」(セミナー資料より)

「住宅にも来る!『BIM確認申請』本格始動前に知っておくべき超入門セミナー」(セミナー資料より)

【セミナー(2)】法改正でこう変わった!リノベーションと確認申請の今とこれから

岡庭建設株式会社 池田 浩和氏

岡庭建設株式会社 池田 浩和氏

次にご登壇いただいたのは岡庭建設株式会社の池田浩和氏です。

4月に建築基準法が改正され、国土交通省のHP(資料ライブラリ)には最新の確認申請・審査のマニュアルが公開されています。当然、マニュアルに従って確認申請・審査を進めていくことが重要です。審査省略がなくなっているので工事監理は特に注意が必要。写真撮影、記録を取ることを忘れないよう進めて頂きたいと思います。既存住宅が確認申請が必要になるかどうかを3ステップで見ていきます。

●1 改修が増改築又は大規模修繕・模様替に該当するか

「大規模の修繕/模様替」とは建築物の主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の一種以上について行う過半の修繕/模様替のこと。「過半」になるかどうかの判断は構造部ごとに行います。これについては令和6年に国土交通省から「屋根及び外壁」そして「床及び階段」の改修に関する建築基準法上での取り扱いについての通達がありました。該当しない場合は建築確認・検査の手続きは不要です。

●2 現行の建築基準法令規定への適合状況を調査

国土交通省のHPに「既存建築物の現況調査ガイドライン」が公開されています。検査済証がある住宅、ないけれど法適合している住宅、そして明らかに適合していない住宅などがありますが、このガイドラインに沿って調査してください。調査の結果、適合しない、規定なしの場合は建築確認検査手続きへ。

●3 既存不適格である規定については緩和を適用して設計

不適格と判断された場合は改修するときに確認申請が必要になるものの、いちから全部審査対象になるわけではありません。前出のガイドラインと一緒に「緩和の規定集」があります。例えばこういう改修をしたら構造の審査は省略しますとか、防火の審査は省略しますという例が掲載されています。この緩和の規定をうまく使いこなしビジネスに繋げていただきたいと思います。

「法改正でこう変わった!リノベーションと確認申請の今とこれから」(セミナー資料より)

「法改正でこう変わった!リノベーションと確認申請の今とこれから」(セミナー資料より)

【セミナー(3)】木のマンションリノベ先駆者が語るクラウド活用実務

マスタープラン/小谷和也設計室 小谷 和也氏

マスタープラン/小谷和也設計室 小谷 和也氏

次は、マスタープラン/小谷和也設計室の小谷和也氏にお話しいただきました。

弊社では国産の木材を使ったマンションのリノベーションを手がけています。最近はマンションリノベのモデルルームの設計をご依頼いただくことが多く、札幌・郡山・浦和・宇治・高松・博多はもう完成している案件、横浜・小牧・奈良・石切・三田は現在建設中もしくは計画中の案件になります。

特にマンションリノベを考える上で、三次元設計は必要不可欠。なぜなら限られたコンクリートの箱の中、さらに開口部の移動や増設ができないという状況で、平面図や展開図だけでアイデアを考えるのはなかなか難しいです。お客様への提案時にも模型では伝わりにくいので、三次元データで提案できると訴求力が格段に違うと思います。

郡山市のモデルルーム事例を紹介します。ARCHITREND ZERO(以降ZERO)で現況図を作成、解体を終えた後の状況もBIM、三次元で作りました。このデータに床や壁、家具や枠を配置したものも作成しましたが、出来上がった実物の写真と比べてもなんの遜色もない仕上がりになりました。私は立体的な提案もそうですし、工事中の施工図も全てZEROで書いています。自動化だけで活かせていない方も多いと思うのでどんどん活かしてほしいです。

ZEROでのマンションリノベ設計のメリットをまとめると、
①限られた空間を最大限に活かした提案ができること。作りこむほどに展開図・自動作図にも反映でき効率的になります。
②3DモデルのURLを発行できること。顧客が家にいてもスマホで完成形の立体の中を歩いてもらえ、正確なイメージの共有に繋がっていると思います。さらに現場の方にもスマホで立体モデルを見ることにより、設計の意思をしっかり伝えることができます。
という風に設計管理の部分でも大変役に立っています。

「木のマンションリノベ先駆者が語るクラウド活用実務」(セミナー資料より)

「木のマンションリノベ先駆者が語るクラウド活用実務」(セミナー資料より)

【製品レビュー】最新版ARCHITREND ZERO Ver.12のご紹介

最後に弊社住宅商品開発室の下口より「ARCHITREND ZERO Ver.12」のバージョンアップ内容をご紹介しました。

●BIM図面審査対応

図面を作成するときにVer.12からはワンクリックでIFCデータを出力できるようになりました。ZEROから図面とIFCデータ両方が出力できるので整合の取れた図書を効率的に作成できます。

●省エネ誘導基準

Ver.12では省エネ仕様基準プログラムが誘導基準に対応。仕様基準ルートでもZEH適合の評価を行うことができるようになりました。

●省エネ×リノベーション

省エネ仕様基準プログラムをリノベーションにおいても有用活用できるように。増改築部分に絞って効率的な省エネ設計が可能になりました。

●審査機関連携

Ver.12では審査機関ハウスプラスさまと協議を行い、審査で指摘が多い箇所について機能拡張を行いました。(採光計算や換気・排煙計算など)

「最新版ARCHITREND ZERO Ver.12のご紹介」(セミナー資料より)

「最新版ARCHITREND ZERO Ver.12のご紹介」(セミナー資料より)