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スターツCAM株式会社

意匠〜積算〜構造、施工、保守管理まで
GLOOBEを核に完全連携を目指す

建設、不動産仲介・管理、金融、出版、ホテル、高齢者支援など幅広い事業を展開するスターツグループ。その1社である スターツCAMは、地域密着型の土地有効活用と建設事業を担っています。同社では2013年にGLOOBE導入を決め、全社をあげてBIM普及を開始しました。その背景と狙いについて導入に携わった皆さんに伺います。

2013年にBIM導入計画を発動

BIMへの取組みはいつ頃からですか

光田

2009年、いわゆるBIM元年の頃、国内でのBIMの取組みについて調べ、会社に導入を提案していましたが、時期尚早という判断でした。ところが昨年風向きが大きく変わり、「BIMをやるぞ」という話になったんです。

何があったんでしょうか

光田

社長(当時)が、海外でBIMを駆使したプレゼンに接したんです。それに強い感銘を受けて「ウチもやらねば」と。BIMによるプレゼンでの、ビジュアルの分かりやすさ、伝わりやすさ、またデータの一貫性、そしてプレゼン資料をスピーディに作れるところに圧倒されたそうです。

それで一気に動き始めた?

横井

ええ、すぐに“BIM推進宣言のキックオフミーティング”が開かれました。設計だけでなく、施工や積算、構造まで含めた全社横断的な組織を作ろうと、社長や執行役員はもちろん、各部門責任者が集まって「これからBIMをやります」と宣言したわけです。そして、その推進機関として各部門のスペシャリストによるBIM方針会議が組織され、メンバーは月1回集まって活動を進めてきました。

BIM方針会議ではどのような活動を?

光田

実は当初、設計者たちも「BIMって何?」というレベルだったので、まずは勉強会からスタートしました。BIMとはこういうもので、こういうことができる。では当社はまず何処からやるべきか……という所から始め、スケジュールや必要なモノを洗い出して各担当を決定。その上でソフト選定に着手しました。最も重視したのは、やはりこのBIMソフトの選定です。

BIMソフト選定はどんな形で?

城戸

当社は設計施工一貫体制で、建築の一連の流れをトータルにカバーしているのが特徴です。ソフト選びもその業務フローにBIMを落とし込み、どんなソフトが必要で、それを使うことで各部門の業務にどんな影響があるのか等、部門間の連携や影響も検討しました。各部門ごとに検討を重ね、方針会議で報告し共有していきました。

設計者の感覚優先で選んだGLOOBE

選定の結果は?

横井

実は当初、別の米国製BIMソフトに内定していました。設計では作図に同じメーカーの2次元CADを使っており、構造やパースも同様だったので連携しやすかったんですね。ところが設備では別のメーカーのCADを使っていたため、同一メーカーの製品で統一する理由が薄らぎました。ならば無理に統一せず、意匠も自分たちが使いやすいものを使おうと、設計者自身の感覚を優先することになりました。結果、選ばれたのがGLOOBEだったんです。

GLOOBEは他とどこが違うのでしょう

横井

まず、何と言っても作図のしやすさですね。たとえば入力した平面図を実施の詳細図に仕上げていく時、GLOOBEなら寸法等も自動で入ります。 自分で細々やるしかなかった所が自動化され、型枠やクロスの量、部屋ごとに細かく分けて拾える。これなら積算とも連動できると思ったんですよ。

城戸

GLOOBEは日本の法規への対応に優れていて、法規制検討時のツールとしても直感的に扱いやすく、実務で使いやすいと感じました。

光田

私が決め手と感じたのは、カスタマイズ等の福井コンピュータ様の対応の早さですね。実際、要望はかなり聞いてもらいましたし、本当に私たちの立場に立ってくれました。そこにBIMを一緒に成功させていけそうな手応えを感じました。

設計担当者がGLOOBEで作成したパース

その「手応え」とは?

光田

当社のBIMの最終目標は、意匠から積算、構造、施工、保守管理等まで全て連動させることです。達成は容易ではありませんが、GLOOBEなら実現できる可能性があると感じたのです。もちろん現状のGLOOBEには物足りない部分もありますが、福井コンピュータ様の対応を見ると、そうした不足部分もいずれクリアされると思えます。実際、日本の建設のワークフローを踏まえた上で、GLOOBEは非常に良い選択だと思います。

積算、構造、施工等との連携を推進

その後のBIM普及活動の展開は?

光田

企画部門等のGLOOBEの操作研修は2013年7月に終わり、同じ頃ソフトも納品され、学びながらの運用が8月から始まりました。9月からは実物件の提案資料作りにも使っています。さすがにまだ全物件BIM化とはいきませんが、ここぞという物件をピックアップして活用しています。

導入効果はこれからでしょうね?

光田

いえ、効果は既にはっきり出てると思います。提案資料も、GLOOBE導入後、製作枚数が大きく増えました。平・立・断面図に法規チェック、多彩なパース、時にはムービーまで、フルプレゼンテーションの提案が増えているんです。

横井

2Dで書いている時は図面とパースをそろえて提案するのに時間がかかっていましたが、GLOOBE導入後、短時間で様々な提案もできるようになりました。より魅力的な建物として受け入れられやすくなった実感がありますね。

城戸

これはコスト削減の点からも大きいんです。パース制作は大きな労力がかかりますし、さらに本格的な動画となると外部に発注して最低1カ月、数百万円はかかるでしょう。設計変更があればさらに費用も時間も必要です。それがGLOOBEなら簡単なパースは自分たちでできますし、3Dモデルが出来ているのでプレゼンチームとの連携で、本格的な表現も従来より短時間で実現出来ます。その分、ぎりぎりまで設計を詰めていけるわけで、設計品質も表現力も向上します。

今後のBIM化計画は?

横井

当面の課題は他部門との連携です。どう書き込み・作り込みをしたら、よりコストが正確に出せるか、何を介してどんなデータを流したら正確に連携できるのか。積算ソフトや構造ソフト、施工図ソフトとの連携をシミュレーション中です。まずは1棟、通常の積算も行いながらBIMソフトでシミュレーションし、データを比較・検証していきます。もちろん福井コンピュータ様にもいろいろ相談に乗っていただき、一緒にGLOOBEをより良いBIMソフトに育てていければと思っています。

光田

現状のBIMソフトは導入して終わりではなく、企業ごとのカスタマイズが欠かせません。その意味で、CADメーカーとはじっくりお付き合いすることが非常に大切です。福井コンピュータ様とは、今後も共存共栄でお付き合いしていきたいですね。

※2015年7月発行のJ-BIM WORLD 事例集 Vol.1で掲載したものです

光田 祐介株式会社スターツ総合研究所
商品開発部
主 任

横井 敏子スターツCAM株式会社
建設統括本部 設計部
設計管理本部 商品開発室 チーフ

城戸 祐一スターツCAM株式会社
建設統括本部 設計部
プレゼンチーム

スターツCAM株式会社

所在地東京都中央区

代表者
代表取締役社長 直井秀幸
設 立
2005年10月
事業内容
土地有効活用の企画・提案、賃貸住宅の設計・施工、資産運用コンサルティングほか

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